アップライトピアノに乾燥剤は必要か?(調律師アンケート調査)

当サイトにご登録いただいているピアノ調律師さんに「アップライトピアノの維持・管理に乾燥剤は必要だとおもうか?」について、アンケート調査をしてみました。

アップライトピアノに乾燥剤は必要か

どちらともいえない理由

ピアノ調律さん 談

ほどんどの場合は必要がないと思います。

1割くらい、必要なケースがあるのは確かです。

以前会社勤めの頃は強制的に入れさせられていましたが、ピアノのためというのではなく、料金的な理由で上司から命令されていました。

1年に1回の調律時に、パネルをあけると毎回カビがぎっしり生えてしまっているケースなどは、乾燥剤をいれることによりかなり改善されています。


ピアノ調律さん 談

ピアノ乾燥剤の必要性は、ケースbyケースだと思います。

ただ、現代の住宅事情を考えました際に、最近の住宅は断熱材を使用されたり、床暖房、蓄暖房対応の住宅が非常に増えてまいりましたので、室内自体が乾燥気味になるケースが多いのが実情です。

そういった住宅にピアノを置かれる場合は、ピアノ乾燥剤は全く必要がないと思われます。

例えば、室内の湿度が20~30%しか無いにも関わらず、B型シリカゲルを用いた除湿剤をピアノの中に入れる事自体が、既に矛盾していると考えられるからです。

しかし、上記のケースが当てはまるにも関わらず、何も考えず、乾燥剤を入れる事を当たり前としている調律師さんが数多くいらっしゃるのも現状であります。

悲しいお話です。

もっと、調律師自身も乾燥剤の必要性について、学ぶ必要があると言えるのではないでしょうか。

しかしながら、昔ながらの住宅にピアノがあり、室内の湿度が70%を超えていて、尚且つ、冬場に窓からの結露が激しい、等の症状が垣間見れる住宅では、乾燥剤は必要なのかも知れません。

以上の観点から、ほとんどの場合乾燥剤は必要ありませんが、場合によっては必要なケースもありますので、ケースbyケースという結論を出させて頂きます。


ピアノ調律さん 談

ピアノの設置環境によっては、必ずしも必要といえないため。

例えば床暖房がある部屋にピアノを置かざるを得ない場合、既に過乾燥に注意しなければならない状況のため、乾燥剤は必要ないと思われる。

しかし、日当たりが悪い、常に湿度が高い、台所など水を使用する場所の近くにピアノが置いてある、というような時は、ピアノの中に乾燥剤を入れることで湿気によるトラブルを避けることができる。

しかし、乾燥剤にそこまで強い効果がある訳ではないと思うので、「これを入れておけば絶対に安心です」と約束はできない。

まずは設置場所全体の温室度の管理が重要であり、乾燥剤は補助的な役割を果たすもの、として扱っているため、「どちらともいえない」を選択した。


ピアノ調律さん 談

基本的には、すすめていません。しかし、場合によっては最低限の管理として乾燥剤を入れる場合があります。

入れる場合の理由

  • 湿度管理がしにくい環境下に置かれている場合。(廊下、水場の近く、部屋が広すぎて除湿機が効かない。)
  • お客さんの感情が入れないと納得しない場合

入れない場合の理由

  • 湿度計などで部屋の環境を見て、良いため入れる必要がない。
  • 乾燥剤を入れることによって安心し、それ以上の管理をしなくなり、入れっぱなしという事自体が、管理につながらないため。
  • 20年ぶりの調律で、乾燥剤も20年間入りっぱなしで置かれていても、全くピアノには問題ないと判断した場合。

お客様が何も言わずに勝手に乾燥剤を入れられた、本当に入れる必要があるのでしょうか、などの不満を言われることが多いので、入れる理由をしっかり説明しないと納得しないと思います。

乾燥剤を勧めるより、湿度計と除湿機や、エアコンのドライの利用を薦めています。


ピアノ調律さん 談

上記の3択ではどちらともいえないになりますが、日本の気候の場合おおむね乾燥剤は入れた方が良いです。設置された環境しだいという事です。

ただ楽器店ルートで販売されている袋に入った、一袋1,500円位する物は、入れても全く効かないに等しい、入れても意味が無い、むしろ入れた方が悪くなる場合がある、といえます。

理由はアップライトピアノは比較的密閉しているとはいえ隙間が有るし、乾燥剤袋に対して内部の体積も大きく、梅雨時など袋に湿気が満杯にすぐなってしまい、その後隙間から湿気がどんどん入ってくるからです。

更に湿気が満ちた袋を置いたままにすると袋に接している底板が湿気によってシミになったり、脆くなったりしますので、袋の物は入れない方が良いです。

私はホームセンター等で3個パックで180円前後で売っている、プラスチック容器に水が溜まってくるタイプの、「湿気とりペット」「水取りぞうさん」等の物を、お客様に自分で入れてもらうようにしています。当然、下前板の開け方を説明して、お客様に実演してもらってです。

ピアノ調律師は乾燥剤販売も貴重な収入源にしている方も多いので私のやり方は受け入れられない人が多いかもしれませんね。


乾燥剤は必要だと思う理由

ピアノ調律さん 談

日本の場合は、湿度が高いので、一般的に入れておいた方が、良いですよ。

特にk社等は、アクションパーツ素材をプラスチックにしてしまったので、一時期は乾燥剤の売上高が、ハンパない額になった時期も合ったようですよね。メカの素材が問題だったのに湿気のせいにしたところもあったようですm(~q~;)m


ピアノ調律さん 談

以前は必要性を感じていなかったのですが、最近のピアノ用乾燥剤は、湿気を吸い取るだけでなく、乾燥している時は吐き出すようになっています。

すなわちピアノ内部の湿度を一定に保とうとしてくれます。

ピアノの狂う原因に、温度、湿度の変化、演奏による衝撃や移動による振動などがありますが、湿度の変化が少ないと狂いも少なくなります。

また、錆を防ぐ成分や防虫効果もピアノにとっては必要です。最近関西でも虫による被害が、20年前と比べて多いように思います。


ピアノ調律さん 談

ピアノをいためる最大の要因は湿気によるサビや木部及び繊維の膨張変形です。次に繊維をかじる虫害です。

これらについては、必ずおきてしまうわけではありません。10年以上放置されたピアノでも全く影響をうけていないピアノもあります。

湿気の影響がある場合は、湿気の影響をうけない場所にピアノを移動することが一番良いと思います。

調律で早期発見はできますが、サビや虫を防ぐことはできません。少しでも予防を考えるなら湿度調整剤(シリカゲル系)と防虫防サビ剤のセットをいれておかれることが予防と考えます。また、気休め程度に少量だったり乾燥剤だけではあまり効果が期待できません。

また、設置環境によりピアノ内部に結露がおきる場合は、熱で結露等を防ぐドライエル等が効果的です。

お客さまには、決して使用しなければならないとはお話いたしません。あくまでも予防的なもので、ご希望なされる方にのみ使用させていただいております。


ピアノ調律さん 談

梅雨の時期や、灯油で暖房をしている部屋、ダイニングキッチンなどにピアノを置いている場合は特に必要だと思います。

ピアノは一般的に約50%の湿度で安定している環境が良いとされていますが、実際にはそんな環境に置かれているピアノは少ないはずです。気温の変化によって、外部よりもピアノ内部の湿度が高くなってしまう事さえあります。

湿度の変化が激しい環境では、ピアノに与える負荷が大きくなりますが、実際に金属部品に錆が出ていたり、なんとなくカビっぽい匂いのするピアノを見かける事があります。

ピアノ用の乾燥剤の主成分はB型シリカゲルですが、B型シリカゲルには湿度が上がれば水分を吸い、下がれば取り込んだ水分を放出する作用があります。つまりピアノ用の乾燥剤は湿度調整剤であり、ピアノの内部を一定の湿度に安定させようとします。

B型シリカゲルは自重の約70%の水分を吸着させる事ができますが、天日干しすれば何度でも繰り返し利用が可能です。顧客にはそうする事も可能とお伝えしています。恐らく天日干しをしている人はほとんどいないと思いますが……。


立川ピアノ調律技研

立川ピアノ調律技研
(神奈川県藤沢市本鵠沼)
 立川さん

私の机の上には3年前から一つの乾燥剤が置いてあります。その乾燥剤を1か月に3~6回秤で計測しています。

3年間統計をとりました。面白い結果が出ました。ピアノの狂う時期が分かるのです。乾燥剤にはこんな使い道もあるんです。

さて、私は乾燥気味のお宅にもお薦めいたします。

1年定期のピアノではわかりませんが、夏冬の半年定期で狂いの出るピアノには効果があります。

ただし、呼吸をしてくれるシリカゲルです。


つくしピアノ調律所

つくしピアノ調律所
(埼玉県入間市)
 中嶋さん

「必須」ではありませんが、非常に有効だと思います。

ピアノ用の乾燥剤は湿度を吸収するだけではなく、乾燥時には水分を放出するB型シリカゲルで「湿度調整剤」として1年を通して有効です。

ピアノ内部の湿度が安定すれば気候や環境の変化による故障が起こりにくくなります。また故障を未然に防ぐことはピアノへの負担を減らし、ピアノの寿命を伸ばします。

乾燥剤の効果はその年によって気候条件などが異なるので単純に比較するのは難しいのですが、同じピアノで乾燥剤を入れた年と入れなかった年を比べると、入れなかった年の方が明らかに湿度の影響を受けていた経験があります。

ただ、たくさん入れれば確かに効果は高いのですが、湿度が非常に高い場所でも3個以上はあまり効果は変わらない印象で、コストパフォーマンスを考えても多くて2個までをお勧めしています。


ピアノ調律さん 談

ただ、乾燥剤はピアノ全体を満遍なく調湿するわけではないので、偏った調湿はピアノを歪ませたりしないかと思うことはあります。

一応必要とは書きましたが、科学的な根拠はありません。

木材の水分は2種類あります、電気的に結合している結合水と、ただ隙間に入っているだけの自由水。調律の保持・木材寸法変化に影響があるのは結合水の方です。乾燥剤がどちらの水に影響を及ぼしているかを見ずに、乾燥剤の効果を判断することはできません。

また、木材の含水率が同じでも、それがどんな状態から今の状態に変化したかによって、木材の寸法は異なってきます。その過程を理解しないままでは、正しい判断はできないでしょう。


ピアノ調律さん 談

要望があれば必要。

湿気の支障を治すものではなくて、守るもの、予防するもの。

効果のある、なしは、環境によって異なるはずです。また、調律師から勧めるのではなく、入れるか入れないかを選んでいただく様にするものだと思います。

きちんと製品化されているものなので、良いと思います。


ピアノ調律さん 談

必要と回答しましたが、ピアノの状態をみて必要と判断したら了解の上でお入れするようにしています。

また、お客様の生活スタイルによっても変わってくると思います。


ピアノ調律さん 談

乾燥剤は出来れば入っていた方が良いと思います。

厳密には難しい湿度や温度の管理ができる方はほとんどいないということと、入っていると本体の安定につながります。


乾燥剤は必要ないと思う理由

ピアノ調律さん 談

長期的には利かないと思うから。


ピアノ調律さん 談

お客様に乾燥剤を勧める時、「誰の為か?」を考えるとお客様の為では無く売り手側を利益が優先しています。

湿気の原因は冷えたピアノの金属部分を中心に、暖かい空気と触れた時に、冷却された空気の水分飽和量を超えた部分が結露として発生します。

それを吸った木部や繊維部品が膨張する事で、回転部分の摩擦抵抗が増して動きを悪くします。

寒冷地で暖房が効かないほど寒い部屋や、東や北側の外壁に面した設置場所、その他にも西側に日光を遮る建物が有ったり、床下に冷たい空間のある建物もピアノが冷える大きな原因です。

エアコンの直風も同じです。

夏にエアコンを長時間付けている時にも床から1メートルの高さまで冷気が停滞しています。

丁度、鍵盤の位置に暖気と冷気の境目が来ると結露が発生します。

そんな状況下でピアノの底板に置かれた乾燥剤が結露を防いだり、発生した湿気を急速に吸収する能力は有りません。

もしも、大切なお客様のピアノが湿気で悪化する様な時には、その原因を解明して改善策を提案し、即座に実施するのがピアノ技術者の役目だと思います。

そんな時に、「乾燥剤を入れましょう!」とは何とも無責任な発言だと思います。

・・・と、毎回力説しています。

水取りぞ〇さんをピアノの周辺に置いたり、下駄箱や押入れに入れても効果はありません。

塩化カルシウムは凍結防止剤で冬の路面に撒く塩です。

ケースの下部に溜まった水分は化学反応後の塩水で、ピアノを守った水分ではありません。

急速な温度変化や置き場所を替える事でピアノの湿気は対処出来ます。


西本ピアノ調律

西本ピアノ調律
(兵庫県丹波市)
 西本さん

まったく必要ないと思います。ですので、私はお客様宅へはまったくお入れいたしておりません。

目に良いと宣伝する、ブルーベリーやダイエット食品等々。まったく意味不明な商品が現在多すぎます。ピアノ乾燥剤もその一つに過ぎません。

調律師はあらゆる部品や、それに付随する関連商品をもっともっと見極めなければいけないと思います。

世の中、良いもの悪いもの、必要なものそうで無い物。メンテナンスだけで乾燥剤以上に効果を上げる事も可能なはずです。

調律師、個々の考え方、捉え方、方向性は様々ですので、 それは皆様いろいろなお考えがあると思いますが……。


ピアノ調律さん 談

密閉容器の海苔の缶と違い、すき間がたくさんあいているピアノは空気がすぐに入れ替わり除湿剤はききません。

湿気の影響が出たら部屋の除湿か、その状態での調整(スティック修理)をします。


ピアノ調律さん 談

乾燥剤なるものは、密閉された状態ではじめて効力をはっきするもので、ピアノのように隙間だらけの箱にいれてもまったく意味をなさない。

お菓子とか海苔のように密閉された容器の中であれば、相当な効果があるわけです。

日本のピアノは、比較的密閉度が高い(それが良いわけではない。)のである意味効果があるのかもしれません。

ドイツ製などは、音響を考えてあらゆるところに隙間があるわけで、乾燥剤など一切役に立たない。

よくいわれるところの、調律師の小使いかせぎとなるわけで、K社の調律師は5個も6個も入れていく。下前を開けるとどさどさーです。

ペダルの動きに支障をきたすこともあったりして、あきれるばかりです。調律と乾燥剤で25,000円ですか……。

電熱による湿度調整装置は有効だと思います。防虫・防錆剤もあるていど有効だと思います。

他、調律師のやっていることでおかしなことがたくさんあるとかんじておりますので、改めて発言したいと思っております。


ピアノ調律さん 談

ピアノは隙間が空いているので、本来通気性はあると思います。

そもそもピアノが湿気っぽくなるというのは、その置かれている環境が湿気っぽいということなので、ピアノの中に乾燥剤を入れたところで、のれんに腕押しというか、仮に多少の効果があったとしても、根本的な解決にはなりません。

換気や、除湿機など、環境を整えるための提案をしていくことの方がよほど必要なことだと思います。


ピアノ調律さん 談

ピアノのパネルは、隙間が開いているので、効果はないでしょう。

ただ、商売として また、定期調律をしていただくための手段として、いれさせていただくことはあります。


ピアノ調律さん 談

密閉されていない隙間だらけの箱のようなピアノは、全く効果は無いと思う。

40年も前メーカー所属の調律師として働いていたころはノルマがあり売上げを競っていました。それだけのことで乾燥剤がピアノに効果あるとは思いません。

実際乾燥剤を毎年2個定期的に交換していた家に訪問した際、弦に錆があり鍵盤ステックがあり何の効果もないことが実証されたと思います。

高気密、高断熱性の高い現代建築の家で、温度を急激に変化させない換気性を保つなどの管理が大切だと思う。


ピアノ調律さん 談

ピアノが置いてある部屋全体の湿度調整をしないと意味がないと思います。

ピアノは密閉されているものではなく穴だらけですので、いくらでも外の湿気が入ってきてしまいますから、小さな乾燥剤が役に立つとは思えません。


まとめ

いかがでしたか? 乾燥剤の必要性については、昔から議論されていました。

個人的には、乾燥剤がなくても良さそうな気はするものの、ピアノの置かれた環境によっては、入れた方が安心なケースもあるのかなぁ、と感じました。

今は、悪い業者のウワサは、SNSなどでカンタンに拡散されます。

そういったこともあり、最近は、乾燥剤をすすめる場合でも、無理にすすめることはなく、自分なりの考えをきちんと伝えた上で、おすすめしてくれる方が、多いと感じます。

乾燥剤を入れるかどうかは、その金額にもよるでしょうし、調律師さんの話を聞いた上で、あなたご自身の判断で、決めれば良いことだと思います。



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