ピアノ調律は自分でできるのか?

ピアノ調律は自分でできるの

この記事では、いま活躍中の現役ピアノ調律師さんに、自分でピアノの調律ができるものなのか、取材しました。ギターみたいに自分でチューニングできれば、きっとピアノへの愛着も深まりますよね。はたして、自分で調律できるものなのでしょうか?

そもそも調律ってどうやるの?

そもそも、調律とはどのような方法で、音を合わせていくものでしょうか? まず簡単に教えていただきました。

まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

ふつうの調律では、ギターで使うようなチューナーは使いません。音叉(特定の高さの音を発する金属製の道具)で基音をとり、あとは耳で合わせていきます。

オクターブ(例えば、真ん中のドから次の高いドまでの音の間隔)を、どのように音階として割り振っていくか、という考え方をします。

日本の割り振りと外国のそれとは違うと、以前の勤務先の先輩に聞いたことがあります。私が調律を学んだ学校では、真ん中の「ラ」をとって、そこから割り振りを作っていきました。

1つの音には、弦が一本のところもあれば、二本、三本のところもあります。音が高くなるに従って、弦が増えていきます。

二本のところは、一本だけを鳴るようにするため、片方をフェルトのようなものをかませて、音を止めます。簡単にいえば、順番としては次のような感じです。

  1. 一本だけ鳴るようにする
  2. 基音のラをとる
  3. 音階をつくる

音階をつくるときは、まず基本となるオクターブからです。基音のラから4度、5度離れた音(ラが基音の場合、レ)を、上がったり下がったりしながら合わせていきます。それが基準となって、そこからオクターブの音階に広げていきます。

学び始めの頃は、音階をつくる作業がとてもたいへんでした。単純に、音のうなりをなくせばよいというわけではありません。もし一本一本全部のうなりをなくしていくと、どうなるか。「純正律」という、現在ではふつう使用されない特殊な合わせ方になってしまいます。

ちなみに、いまみなさんのご自宅のピアノは、現在のスタンダードである「平均律」という合わせ方になっているはずです。この「平均律」で調律が行われた場合、オクターブの中の十二の音の階段それぞれの比は、単純に割り切れる整数比ではありません。

いまみなさんが馴染んでいらっしゃるこの「平均律」という調律法は、そのため多少のうなり、にごりが含まれているものなのです。「平均律」で音階を作る際には、そのにごり加減を覚えていなければできません。


調律は本当に自分でできるのか?

谷口ピアノ調律事務所

谷口ピアノ調律事務所
(愛知県豊田市)
 谷口さん

やはり、調律師のようにはできないと思います。興味を持って、プロセスを楽しんだり、ピアノの構造を知る、といった意味では良いことだと思います。ただ、プロの仕事のようには難しいですね。

自分で調律をすることを進めているブロガーもいるようです。でも、こういった方は、「見越し調律」という技があることを、完全に見落としていると思いました。

「見越し調律」は、合わせた後に少し下がることを見越した上で、少し高めに音を調整するような技法のことを言います。合わせた後に、いつ、どの程度音が下がりそうなのかを、そのピアノと環境を踏まえながら予測します。それを見越して調律をするという、けっこう高度なことを調律師は行っています。

よくあるケースですが、天候とか室温といった環境で、下がり方に変化がでます。例えば、真冬の寒い場所で、調律を行います。そしてその後、すぐに暖房をいれるとたちまち狂ってしまいます。

あるいは、夏の32度くらいの部屋で調律後、すぐにエアコンを入れるとそれだけで狂ってしまう。夏はエアコン入れてから2,3時間置いてから行うのが良いのですが、そういったピアノの置かれている環境も考慮して、予測する必要があります。

もう1つのケースは、調律の期間が長く空いてしまうと、その後にすぐ音程が下がりやすくなることです。仮に、438ヘルツから442ヘルツに一気に上げたとして、3回、4回調律をしてもまだ音程が下がったりします。これは、メーカーによっても、またアップライトの背丈によっても違いがあります。

また、低音、中音、高音かの違いによっても、下がり具合が違います。もっとも狂いやすいのが、中音部で、特に右手のメロディー部分である次高音と呼ばれる領域が、すごく下がりやすいです。こういったことを予測した見越し調律は、4ヘルツくらいの変更なら調律学校でも教えていると思います。

また、和音の合わせ方が難しいのですが、それについての説明がないと思いました。それから、ピアノにはそれぞれ特有のクセがあったり、中には設計が破綻していて、そもそもきちんとした調律ができないピアノがあるのです。しかも、それはけっこう多いのですが、そのことについても触れていません。

そのほかにもいくつか重要なことがありますが、こういったことをすべて踏まえて、一般ユーザーの方が自力で調律ができると想像するのは無理があります。


専用ピアノチューナーがあれば、初心者でも調律ができたりしない?

まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

調律学校では、チューナーも使って練習をしていました。それを使って、一本の音をひたすら合わせたりしました。調律専用チューナーは、ふつうのと違って、とても高度な機能を持っているようです。

例えば、実際の調律では高い音は理論値より高めに設定しますが、専用チューナーだとそこを加味した上で示してくれたりします。今は進化していて、スマートフォンのアプリになっているものもあります。それでも五万円くらいしますから、高いですよね。

それなら、もしある程度調律のやり方がわかって、そのチューナーがあれば、自分でやっていいかと言うと……、それでもだめだろうと思います。

ハンマーには、回し方にコツが必要なんですよ。ハンマーを回す感覚でやりすぎると、弦が切れてしまうんです。ちょっと触れる程度の感覚でよいのです。調律学校の実習のときは、けっこうみんな弦は切っていましたね。ドだと思ってハンマーを回していても、いつまでたっても音が変わらない。とおもっていたら、間違って実はレの弦を触っていた、とか(笑)

ある程度の音に合わせるだけの作業なら、それほどたいへんではないと思います。チューナーのメーターを見てできる。でも、回し方はそうはいきません。ハンマーの回し方は、ちょっと行き過ぎて、少しもどす、というのが基本的なやり方です。そうすると、音の保持がよくなります。そういったコツをつかむために、一年間かけて学校で実習します。だから、ふつうの方には難しいと思います。

音づくりに関しても、音を合わせるだけなら、音の合わせ方を知っていて、チューナーがあれば、やろうと思えばできなくはないと思います。ただ、あと一歩というところは、人間の耳で合わせるほうが心地良い音になります。そして、そちらのほうが作業的にも楽です。

チューナーだと、荒い調律になります。取り除きたいうなりが消えず、ブレがどうしても残ってしまう。最後は、人間の耳でそれを調整しなければなりません。


チューナーが示す最適な値が絶対正しいとは言えない

ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

調律専用チューナーが市販されています。10万円くらいします。でも、ふつうのチューナーだと難しいのですが、この専用チューナーなら高音部と低音部も自動で最適な値を示してくれて、それに合わせて調整できるようにはなっています。

専用チューナーは、ユニゾン(1つの音に3本の弦がある場合、それを同じ高さにそろえることを言う)や中音部のオクターブは、それだけである程度できる合わせられるとは思います。

ただ、ピアノのサイズによっては、チューナーが示す最適な値が絶対正しいとは言えないのです。中音部はともかく、最低音部と最高音部が、示された理論値ではぴったり合わないことが多くあります。それに、ピアノの個体差もあって同じように合わないことがあります。

専用チューナーも、心地よく聞けるようにそれなりに考慮されているとは思いますが、それでも、最終的に耳で合わせたほうが良いのはこういうわけです。

最低音部と最高音部、そして中音部も含めて、最後はユニゾンが問題になります。最後にピタッとユニゾンが合わないと、一本筋の通った音になりません。ほんのすこしの狂い、ウニャっとする狂いを、チューナーで調整できるのかは疑問です。

ほんとうにきれいなユニゾンにするには、耳じゃないとできないと思っています。1つの音で3本ある弦を、440ヘルツにぴったり合わせ、きれいなユニゾンをつくるのは、とても難しいと思います。それをチューナーのメーターのメモリにピタッと合わせるのは、きっと難しいと思います。

何と言っても、チューナーが正確過ぎるのが問題かもしれません。機械的すぎるというか。多少ズラしたほうが、人間の耳には音楽的、心地良いと感じることも、実際にはあります。


専用チューナーがあれば、下から合わせて旋律にはできる

谷口ピアノ調律事務所

谷口ピアノ調律事務所
(愛知県豊田市)
 谷口さん

専用チューナーがあれば、ある程度下から合わせていって旋律にはできると思います。ただし、きれいな和音にできるかは、別です。専用チューナーといえども、和音をきれいに整えることまでは考慮されていません。だから、和音は人間の耳です。

専用チューナーなら、中音部の二オクターブくらいは合わせられると思います。ですが、4オクターブ上の音に、きれいに和音を乗せられるかどうか……。高すぎると、悲鳴のように聞こえます。低めだと、眠くなるかんじがします。具合よくいけば、すっと伸びる感じで良くなることがあります。でもやはり、和音として成立させるのは難しいのです。

専用チューナーでも対処できない理由は、他にもあります。弦の長さは、ピアノそれぞれによって違っていますが、それによって、調律の仕方が変わります。専用チューナーでは、これに対処できないと思います。

また、メーカーの機種、設計によっても調律の仕方は違ってきます。国産、ドイツ製でも設計が破綻してるものがあり、バランスが悪い時があります。それでも、そこを何とかうまくまとめるのが、調律師です。これをうまくやると、ミネラルウォーターのように、多少のにごりがむしろ心地良いと感じられて、おいしくなるときがあります。

他にもあります。状態の良いピアノは、アタック音の後に、音程がぐっと上がっていく感じがします。高次倍音が良くでているのだと思います。一方で調子の悪いピアノの場合、逆に音程が下がっていきます。つまり、ピアノの音程は、一直線ではないのです。こういった時、ではチューナーだったら、どの時点の音を基準にとるのでしょう? 調律師も、どこで合わせていいのか悩むことになりますが(笑)

あとは、先ほど申し上げたピアノや環境によって音が下がることを予め予測した見越し調律が、チューナーではやはり難しいということです。

やはり、チューナーではなくて、耳です。人間の耳で聞いて、心地よいかどうか。これを判断して、実際に処置ができるのも、やはり人間だと思います。

車のバッテリーに入れるような蒸留水が美味しく感じるかというと、そうではないと思います。それよりは、純粋ではなくとも様々なミネラルが混じったミネラルウォーターのほうが美味しく感じるはず。もし音色が固いと感じたならまろやかにするし、そういうことまで調律師は考えています。これは、やはり機械では今のところ難しいでしょう。

ちなみに、ヤマハの専用チューナーで、PT100というのが昔ありました。ヤマハの個々のモデルに合わせてつくってあるので、調律師の耳に近い音合わせができます。

調律師が感じる倍音構成をグラフ化し、ヤマハの機種ごとに合わせられるようになっています。定価は10万円ほどしたと思います。外国ではまだ販売していたと思います。外国では、日本と比べて調律師が少ないですし、日本とは逆に耳だけで行う調律師も少ないと思います。


少しだけなら自分で調律してみてもよいか?

まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

一部が極端に狂った時は、触っていいかもという考え方はあります。ただ、外側の板を取り外したりする時に、落としたりして大きい修理になることがあります。またハンマーが折れたり、危険が伴うので注意は必要だと思います。


ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

すべての調律は、難しいですね。ですが、部分的には良いと思います。ちょっとズレたときとか、特に弦を張り替えた時にですね。その箇所の弦だけは、よく狂います。調律師も、逆にそこはやっていただけるならそのほうが助かるかな(笑)そのためだけに、自身が3,4回訪問しないといけないことを考えると、とてもありがたいと思います。

部分的な調律は、全体の土台があってこそです。土台が崩れてしまっていては、部分的に直す意味もなくなってしまうと思います。全体の調律でたいへんなのは、低音部と高音部です。とても、聞き取りにくいからです。

やれたとしても、部分というよりももっと狭い範囲で、2箇所程度の音の修正がせいぜいよいところではないでしょうか。その合わせ方は、オクターブ、ユニゾン(2つ以上の同じ音が重なった状態。調律では1つの音に対する2本または3本の弦を同じ高さにそろえること)だけにしたほうがよいと思います。5度の幅などで合わせるのは、きっと難しいと思います。

ピアノの弦は、1つの音に対して、中音域で2本、高音域で3本の弦があります。3本の弦がある音を合わせる場合、まず左の弦と基音で合わせます。そのとき、残りの2本はフェルト素材のもので止めて置きます。次にその左の弦と真ん中の弦を合わせます。最後は、3本全部でユニゾンをあわせる、という手順です。

最初は、数カ所の音を修正して気持ちよく弾けたとしても、一年も経てば全体的に何か気持ち悪い感じになっていると思います。その時は、調律師にまかせた方が効率的だと思います。


自分で調律することのメリット、デメリット

谷口ピアノ調律事務所

谷口ピアノ調律事務所
(愛知県豊田市)
 谷口さん


自分で調律することのメリット

  1. ピアノの構造や全体について自分の理解が深まる。
  2. 和音、音楽に対する理解が高まる。
  3. 平均律の響きの良し悪しが客観的にわかる。
  4. メンテナンスの意識が高まる。声楽も、バイオリンもメンテナンスは自分自身。そのため、それらの奏者はそれに対する意識がふだんから高いが、それに対してピアノの奏者は一般的に鈍くなりがち。

自分で調律することのデメリット

  1. ピアノを痛めたり、事故の危険性。チューニングピンの刺さっている板を痛めたり、アクションの部分を触って壊したりする可能性あり。アップライトなら外装を外すので危険が伴う。
  2. 時間と手間がかかりすぎる。情報収集、理論の理解、実践が必要で、理解だけでも一ヶ月、実践ならそれ以上。
  3. 弦を切るリスク。もしやるときは、高いのか低いのかわからなくなったら、弦を下げて確認する。

お客様で自分で調律してしまう方はいないのでしょうか?

まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

調律ではないのですが、修理の例であります。アップライトピアノで、ハンマーがグラグラするので何とかしてほしいとのご依頼でした。伺って状態を確認すると、ご自分で外側の板をはずし、グラグラするハンマーの真ん中の部分にガムテームがグルグル巻にされていました。

そのハンマーの木の部分の真ん中には、金属のピンが入っていて、そこが動くようになっています。そこが、きつすぎてもも、ゆるすぎてもだめなんです。にもかかわらず、ガムテームで固定されているような状態になっていました。他のところにもたくさんガムテームが貼ってあり、いろいろこうやって直してきたと話されていました。

その処置が正しいと、どうやら思い込まれているようでした。正しい処置は、ピンの交換であったり、このケースではピンがと飛び出ていたのを、元に戻すだけでした。ガムテームは、剥がすのがたいへんでした……。


谷口ピアノ調律事務所

谷口ピアノ調律事務所
(愛知県豊田市)
 谷口さん

弦がよく切れるお客様がいらっしゃいます。切れた後に新しく変えた弦は、よく狂います。それをご自身で直してしまいます。音に対してとても敏感な方で、性格も神経質なタイプだと感じます。この方はピアノも痛めないで、調律をしてしまいます。ピアノに人生すべてを注がれているようで、一日8時間ピアノを弾いていらっしゃいます。これはもう、調律師以上にピアノに関わっているといっていいと思います。こういう人だから、ピアノにも慎重に触りますし、痛めることもないのだと思います。

この方のピアノはカワイのアップライトで、グレードもそれほど高くはないものです。狂ったところは、ユニゾンだけ、部分的にされています。チューニングピンが刺さっている板も痛めてないのです。誰かにハンマーの回し方を教えてもらったわけでもないのにです。すごい方だと思います。音やタッチに、ものすごくこだわりを持たれています。何しろ、私が調律にうかがう前から、ご自身でハンマーを持っておられました。

このアップライトピアノは、正直に言うとかなりガタつきもあって、もう寿命がきていると思います。愛着は持たれていますが、50年以上は経っています。

この方のような古いピアノであれば、ご自身での調律も良いとは思います。ただし、新品のピアノの場合は、自力の調律はお薦めしません。もう十分に弾ききって、後はもし壊れたとしても後悔はないと思えるピアノであれば、やるのはよいと思います。

ユーザーの方の中には、まれに調律にこだわってしまい、それが趣味になってしまう方がいます。そういう方は、あんがいチェンバロ、クラビコードを買っています。なぜかというと、これらはピアノと違い、メンテナンスや調律は自分でやるものだからです。

現代のピアノは、機構も複雑すぎます。その点、それらの楽器は機構もシンプルです。ですから、調律にこだわる人は、こちらの楽器にいく。こういう方は、チェンバロのプロ、セミプロであるケースも多いです。チェンバロは弦も少ないし、楽だそうです。

自分でやれることに、価値を置く方々のようです。見方を変えれば、それくらいピアノの調律は難しいということです。チェンバロを作っている製作者でも、きっとピアノの調律は難しいと思うのではないでしょうか。

私の知る限り、ふつうの方で、すべての調律をきちんとできる方は、1人のチェンバロ製作者を除いて、誰もいませんでした。ただ、その例外の方が調律したのは100年もののとても古いピアノで、音楽的にはとても良い響きでしたが、協会が定める基準とは違ったものでした。


自分で調律する意欲から得られる対価は大きい

ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

1,2箇所に限った調律なら、私としては挑戦は大歓迎です。何より、ユーザーの方が気持ちよく弾ける時間が長くなりますからね。それがいちばんです。

でも、一年以上経った時に、全体をやろうというのは無理です。そういうときは、調律師にどうぞ頼んでください。そして、きちんと土台をつくってもらったほうが良いです。調律師はどうしても必要で、調律師は職を失う心配はない(笑)

こういったユーザーさんと調律師の関係は、私の中ではある意味理想です。演奏者が自分が思うような音にしたい、というのが本来あるべき姿ですので。でも、ピアノの場合はそれが難しくて、分業にならざるを得ません。ですから、土台はづくりは調律師、演奏者がその上に音作りに参加できるコラボレーションは、すばらしいことだと思っています。


谷口ピアノ調律事務所

谷口ピアノ調律事務所
(愛知県豊田市)
 谷口さん

トライすることは、良いことだと思います。そうやって、ピアノに対してさらに理解を深めていただきたいですね。調律の重要性が理解できたり、構造を理解しよういう意識が芽生えることが、有意義だと思います。

そうやって、今まで気づかなかったいろいろな視点が、きっと身につくと思います。その意味で、ユニゾンを触るのは良いことです。やれる環境にある方は、ぜひ腹をくくってやっていただきたいです。

ただ、もし調律代を惜しんでやろうとすると、逆に高くついてしまいます。本当に調律をものしようと思ったら、そうですね200万円はかかるでしょう。もしそこまでやれたのだとしたら、嫌味ではなく本当に尊敬すべきことで、ぜひ我々の仲間になりましょう(笑)


まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

調律師にやり方を聞いてみるのがよいかもしれません。ただ、全部はやらないでいただきたいです。一箇所だけ狂って困るといった場合は、チャレンジしてみてもよいと思います。

お客様の中には、わざわざ来てもらうのも申し訳ないと、調律師のことを慮ってくださる方もいらっしゃいます。そのことで、毎回気を遣うのも煩わしいとの思いかもしれません。いずれにしても、双方にメリットはあると思います。

調律時に調律師に聞けば、その場でハンマーの回し方などのアドバイスももらえます。くれぐれも、回しすぎにはご注意ください。ただし、なにかあっても、調律師側では責任は取れませんので、そこはご理解をいただく必要があります。

以前お客様宅へうかがった時に、私の調律の間中、そちらのお母さんがずっと見ていらっしゃって話しかけてこられたのです。それで私も、「よかったら、ハンマーを持ってみますか?」と言ってお渡しすると、「重いですねー。」なんておっしゃっていました。

「ちょっとやってもいいですか?」と言われたので、「回しすぎたら、切れますから。」と注意することをお伝えし、わざと音を下げてからやっていただきました。その時「わぁ、音が変わったー」と、とても楽しそうだったのです!プチ調律体験、良いのではと思います。