10年調律なしのヤマハのアップライトピアノ、どんな修理と費用がかかるの?

ピアノの修理

子供が大きくなって、ピアノを使わなくなる、そんなご家庭も多いようです。

この記事では、10年調律なしのヤマハのアップライトピアノについて、実際にどんな修理と費用がかかるのか解説します。

ピアノ調律師さんへインタビュー内容もあり、何かしらあなたの参考になればと思います。

10年以上使われていないピアノによくあるトラブル

まずは、10年調律されず放置されたピアノに、どんなトラブルがおきやすいのか解説していきます。

  1. 全体の音程(ピッチ)が低下している
  2. 調律してもすぐ音が狂いやすい
  3. 鍵盤の戻りが悪いなどの鍵盤の不調
  4. 弦の劣化
  5. フェルトの劣化

それぞれについて、詳しく説明していきます。


全体の音程(ピッチ)が低下している

長期間弾かれず放置されたピアノは、音程(ピッチ)の低下や音程のズレが生じます。

強く張られたピアノの弦は、時間とともに徐々に緩み、弦が緩むにつれて音は低くなります。全体的に音が低くなったり、音程がズレたりするのです。


調律してもすぐ音が狂いやすい

長期間弾かれず、音程(ピッチ)が下がったピアノは、調律をしてもすぐに音が狂いやすい状態です。

放置された期間や、ピアノの状態にもよりますが、1回の調律では直らず、3ヶ月後や半年後に再度調律が必要になるケースも多いようです。

この再調律に対する考えや料金については、お店や調律師さんによって対応がバラバラです。高額な金額を請求する悪徳な業者もいるようです。

ピアノの状態があまり良くなさそうな場合は、いきなり修理を依頼せず、最初に修理の見積をお願いしてください。

トラブルをさけるためにも、見積りの内容や金額に納得してから、修理を依頼するようにしましょう。


鍵盤の戻りが悪いなどの鍵盤の不調

長い間使用されていないピアノの鍵盤は、動きが悪くなるなどのトラブルが見受けられます。

鍵盤の清掃程度で済めばよいのですが、固着などの不調があった場合、別途修理が必要となってきます。


弦が劣化している

弦には強い力が加わっているため、少しづつ劣化していきます。劣化がヒドイと、弦の交換が必要となります。

弦の交換費用は、交換する弦の種類によりことなります。高音弦で1本2,000~5,000円。低音ダブル巻弦で1本9,000~11,000円と、その金額に差があります。


フェルトが劣化している

ピアノのハンマーフェルトやダンパーフェルトは、時間とともに劣化してきます。劣化が進んでいる場合は、フェルトの交換などが必要です。


ピアノ調律師さんに聞く、10年調律なしのヤマハのアップライトピアノ、どんな修理と費用がかかるの?

10年調律なしのヤマハのアップライトピアノ、どんな修理と費用がかかるのかについて、色々なピアノ調律師さんにお話を聞いてみました。

今回のインタビューでは、価格を直接聞いたせいもあり、お名前が非公開な方ばかりとなってしまいました、ご了承ください。

かかる費用については、地域差などはあるものの、おおよその相場がありそうです。


ピアノ調律師さん 談

私は定期調律\12,000、2年定期\13,000で、以後1年ごとに¥1,000UPしています。

この計算で行くと10年は¥22,000になりますが実際は¥17,000~20,000くらいになります。大修理以外は上記の金額でOKです


ピアノ調律師さん 談

ヤマハで購入して新品での10年放置では、音の低下とアクションのネジの緩み、鍵盤のガタピシ等々、数え上げたら切りがありませんね。

普通は販売店で、調律をするという啓蒙思想を植え付けるために、放置はあり得ないのですが、希にレッスンを辞めてしまい、放置された例はありますね。

値段は状態によってですが、通常料金12,000円の2~3倍です。

定期的調律している中古での10年放置の場合は、ある程度安定しているので、値段も通常料金の二倍程度です。


ピアノ調律師さん 談

製造年にもよりますが、先ずは各部品の取り付けが緩んでいないか、ビス締めをして、ハンマー割りを同時にする。

その後、整調、調律。これはピッチが絶対下がっているので、2回から3回、ハンマー割りをしたので、整音が必要です。

かかる時間は、3から4時間です。費用は込み込みで21,600円です。他に修理があれば別料金です。


ピアノ調律師さん 談

調律を10年放置されてますと、まずピッチは下がっていますので、粗調律を行って本調律をしないと駄目でしょう。

その時点で、基本料金+粗調律代になります。10年放置でしたら、洋服に付く虫の害も考えられます。虫が、ピアノ部品のフェルトを食べて性能が落ちている事が多く有ります。

ヤマハでしたら、バットフレンジコードが切れている事も考えられます。

ピアノがU3M以前の物でしたら、ネズミ害も有りますので、一概に幾らですとは答えられないと思います。

「安く済ませたい!」と思う気持ちは分かりますが、10年も放置されていたのだから、性能を戻す為にお金がかかるのは仕方ないと思います。


ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

10年調律しないとどうなるか? 一番問題となること、それは全体の音程(ピッチともいいます)の低下です。

ピッチが下がると、調律してもすぐに音が狂いやすいので、安定するまで時間がかかりますし、音を安定させるために、時として3ヶ月後や半年後にもう一回調律をする必要も出てきます。

ただ、この時の料金は店や調律師によってまちまちです。かなり高額な金額を請求するケースもありますし、期間が空いた場合でも追加料金を頂かない調律師のかたもいます。

私の場合は、音を安定させるのに通常より時間がかかる分、10年期間が空いた場合は¥3000ほど追加料金を頂いております。

10年調律していないから10倍時間がかかるというわけではありませんし、大幅に時間がかかるというわけでもありません。通常より大体30分くらい時間が余計にかかることを考えると、この料金が妥当かと思っております。

ヤマハのアップライトピアノに限ったこと

それと、これはヤマハのアップライトピアノに限ったことですが、30年以上経ったピアノで、内部部品のフレンジコードという紐が切れていることが時々あります。

これは10年調律しないからというわけではなく、10年後に調律するときにわかったということで、その10年の間に劣化して切れたかもしれませんし、それ以前からそのような兆候があったのかは定かではありません。

いずれにしても、この修理代は私の場合は¥20,000頂いております。ただ、この部分が破損していても音が出ないわけではなく、あくまでも鍵盤の反応を良くするための補助的なものなので、きちんと修理するか、それとももう少し様子を見てみるか、それはお客様におまかせするようにしています。

「子供がこのまま続けるかどうかわからない、きちんと続けるようならその時修理します」というお客様も多いですね。

ピアノの中のほこりは虫食いなどの原因に

あと10年調律しない場合、ピアノの中にほこりがたまっているケースがほとんどです。ほこりは直接音には影響ありませんが、虫食いなどの原因になりますのである程度定期的に掃除したほうがいいですね。

中には、納品以来初めて掃除するというケースもあり、お客様が初めて鍵盤を外したところを見ると言ってビックリされるケースもあります。なお、私は掃除で料金はいただきません。

最近は親御さんの使っていたピアノを子供さんが使うケースが増えています。その場合、大体10年くらい調律の期間が空いているというピアノが多いですね。

10年弾かないことで音色やタッチも鈍ってくるので、私としては音程の狂いだけでなく、それらも含めて改善し、より喜んでいただけるピアノになるよう調律調整をするようにしています。

この場合、追加料金を頂くかどうかですが、例えば音色やタッチ調整で時間がかかる場合は調整料金を多少頂く場合もありますし、時間がそれほどかからない場合は頂きません。

いずれにしても音色やタッチの調整は、いわゆるテコの原理のように少しの調整でも大きく変化します。

同じクォリティーの内容を短時間で終了させる

本来技術というものは、同じクォリティーの内容を短時間で終了させることが出来れば、その分料金は下がるものだと思います。

私も今まで調律ネットを通して、音やタッチに悩む多くのお客様のご相談を頂いてきました。そのおかげで、より短時間で成果を出せるようになったと思います。

少ない時間と低料金で効率的に最大限効果を上げられるよう、歌うような響きのピアノを目指して、これからもたくさんのお客様に感動を与えられるような音作りを心がけていければと思います。


まとめ|状態が悪そうなら、いきなり修理せず、まずはお見積を

ピアノ調律師さんの意見をまとめると、10年調律なしのヤマハのアップライトピアノで、特別な修理や調整が必要ない場合、だいたい20,000円くらいが相場のように感じました。

ただし、修理が必要な場合は、その分だけ高額になってきますので、トラブルにならないよう、以下の点に注意し、修理の依頼をしましょう。

  1. 全体の音程(ピッチ)が低下し、調律してもすぐ音が狂いやすい
  2. 鍵盤の戻りが悪いといった不調、弦やフェルトの劣化などが考えられる
  3. 調律や修理が高額になりそうなら、すぐにたのまず、見積もりをしてもらうこと
  4. ピアノとは長いつきあいになるので、何より信頼できる調律師を探しましょう
  5. 修理が必要な場合、修理後の保証について確認、保証期間内なら無償で再修理してくれることも


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