【ピアノと調律】のメルマガ・バックナンバー 10年10月

ピアノの音はご近所迷惑!ピアノ防音対策に最も有効な意外な策とは?

■今回のメルマガ執筆者

  宮本  準子
(大阪府大阪市住吉区)


こんにちは。
ピアノ調律師の宮本です。

ピアノの調律に伺った時によくいただく質問が、ピアノの防音のことです。

「中学生になってクラブや塾で帰りが遅くなり、遅い時間からピアノを弾くと、ご近所に迷惑になるんじゃないか。それを、いつも気にしながら弾いているんですよ」

といったものや、

「マンションだし、下の階の人に相当響いているんじゃないかと、いつも気がかりで・・・」

と、やはり大きな音の出る楽器ですので、皆さん気にされているようです。


まず、ピアノの基本的な特性についてお話しますね。

アップライトピアノは、実は「後ろに」音が出る構造になっています。

「えっ?前に出るかと思ってた」という方、けっこう多いです。

もちろん、楽器自体が振動していますから前にも音は出ます。とくに前に隙間の空けてあるピアノ(ヤマハではトーンンエスケープ、カワイではトーンスプレッダーといいます)は、前にクリアな音が漏れるような構造です。

でも、ピアノは弦の振動を大きな木の板(響板)に増幅させて音を出しますが、じつはその響板があるのが裏側なんですね。
ちなみに、グランドピアノは下に響板がついていますので、フタを閉めていれば下に音が出ます。一般家庭では閉めたままで練習することが多いですが、コンサートでは、上のフタを全開して、上から大きな音が広がるようになっています。


アップライトピアノの話に戻します。

アップライトは後ろに音が出るのに、たいては裏側には壁があります。では、壁の向こうがマンションのお隣の家だったらどうなりますか?

そう、けっこう響いてしまうことになります。
一番手軽なピアノ防音対策を、お話しましょう。


◆壁からピアノを離す

通常は、5cm程度しか隙間を作っていない方が多いですが、10cm~15cmあけると、音が横に逃げますので、壁の向こうに漏れる音をかなり防止できます。

よくピアノの防音対策グッズが売っていますが、ピアノの後ろに置くタイプのものは、防音材入りのパネルになっていますね。理屈として、正しい方法です。
あとは、ピアノの下に置いて、響きや振動を軽減するようなゴム製のインシュレーターなどもあります。

いずれも、けっこうな値段がしますが、とても効果的な方法です。

ただ、もっと安く防音したいという方は、簡単な方法があります


◆ピアノの裏側に毛布を敷く

ピアノの裏側に不要の毛布をぶら下げて押しピンでとめたり(裏は柔らかい木ですのでカンタンに止まります)、いらない座布団を押しこんだり・・・。

あまりかっこいい方法ではありませんが、音を吸収してくれる布が響板のそばにあるわけですから、なにもしないよりは効果的です。ただし、ちょっと音がこもってしまう副作用が難点です・・・

あるお客様は、夜中でもピアノを弾きたいからと、ピアノを布団でグルグル巻きにしてロープで縛って弾いていました。
ここまでやれば完璧ですが、ピアノ本来の音はかすかにしか聞こえないはずです(笑)。でも、そこまでしてでも弾きたいなんて、本当にピアノが好きなんだろうなぁっておもいます。

あと、お部屋の残響が多すぎてうるさく感じてしまう場合は、お部屋にカーテンをかけたりじゅうたんを敷くと、音を吸収してくれますのでこれも効果があります。

コンサート会場では音の減衰時間を「残響2秒」とかの表現で書いてあることがよくあります。これは、会場に誰もいない時に計測した音の減衰時間のことです。しかし、実際にお客様が入場したら一気に残響時間が減ってしまいます。これは、来場者が着ている服が音を吸収してしまうからです。この原理と同じなんです。


いろいろとピアノの防音方法を書きましたが、これらはすべて物理的方法です。
でも、ピアノの防音をしなきゃっておもうもともとの動機は、

『周りの人にうるさく感じさせたくない』

これですよね?
それならということで、究極のピアノ防音対策を最後にお伝えしておきましょう。

それは、


◆ご近所へのご挨拶

なんです。

マンションの方は上下左右の方に、

「こんどピアノを購入しました。時間を守って練習させますので、どうかよろしくお願い致します」

とか、

ご近所の方と道ですれ違った時に

「いつもうるさくしてすみません」

と、ニコっとお声かけしているだけで、同じピアノの音なのに、うるさく感じなくなるものなんです。

なんだか、不思議ですよね?
でも、人の心とはそういうものなんですね。

日本のピアノの普及率は、いま25%くらいです。(4軒に1軒はピアノを持っています)まだまだたくさんのご家庭にピアノがあります。

でも、ピアノの美しい音も、状況と人によっては、ひじょうにうるさく感じることもあります。ですから、こういった心遣いが、楽しいピアノライフを送る秘訣だと思います。

ぜひ皆様、実践してみてくださいね。


宮本 準子   (大阪府大阪市住吉区)






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