「ピアノを習うと頭がよくなる」は、ほんとう?

ピアノを習うと頭がよくなる

この記事では「ピアノを習うと頭がよくなる」についてや、ピアノを習うことの良さ、メリットについて、ピアノ調律師さんに聞いてみました。

「ピアノを習うと頭がよくなる」は、ほんとう?

調律師さんからの回答をご覧ください。


イエスかノーかといえば「イエス」だと感じます

ピアノ調律師さん 談

専門家では無いので正直わかりませんが、悪いことは無いと思います。イエスかノーかといえば「イエス」だと感じます。

ピアノを弾く理由は様々あるでしょうが、〇〇だからやる!というよりは、基本的に楽しいから、ピアノが好きだからというのが根底にあると思います。

しかし、奥が深いので、その楽しさがわかるにはある程度地道で孤独な練習に耐えなければいけません。それに耐えられない人は途中で挫折してやめてしまうのだと思います。

難しい曲を弾こうと思えば、右手と左手、ペダルを操作して、自分がどんな音を奏でているか注意深く聞き取らなければいけません。

これが上手く出来るようになる為には、相当脳を働かせなければならないことは明白だと思いますので、脳にとって【良い】と思います。


ロンドンのサンデー・タイムズ紙での実証結果について

ピアノ調律師さん 談

少し前の記事ですが、ロンドンのサンデー・タイムズ紙はこのように伝えていました。

9ヶ月にわたるテストにおいて、ピアノのレッスンを受けた子供たちと、コンピューターのレッスンを受けた子供たち、そして何もトレーニングを受けなかったグループとを比較した。ピアノの演奏を習った子供たちは、知能テストの成績が35%改善されたが、他の二つのグループはわずかしか、あるいは全く改善は見られなかった。研究者たちは、一日に10分間でも規則正しい練習をすることが、「子供の推論や思考の方法の長期的な改善」に貢献することを実証してきた。

この記事を通してわたしが思うことは、ただ単にピアノを習えば良いというわけではなく、毎日規則正しく練習が出来るかどうか、という点が大きいと思います。

実際に現場でお客様と接していても、毎日少しでも練習できる子供もいれば、レッスンの直前だけ練習する子供もいます。当然ながら前者のほうが上達が早いです。

それだけでなく、学校の勉強の取り組み方や、人との接し方などの点でしっかりしているな、と思わせる子供が多いように思います。ピアノに限ったことではありませんが、楽器を上手に演奏するためには努力としんぼう強さが欠かせません。

ピアノの上達する子供は、途中で投げ出さず、目標の達成に向けて行ない続けることのできる子供です。ピアノを習うことによって、素晴らしい特質を養うことが出来るとわたしは思います。


学歴や知的レベルの高い方に、ピアノが好きで演奏が上手い人が多い

ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

ほんとうだと思います。

具体的になぜかと言うと説明しずらいのですが、私のまわりでは理系のかたやお医者さんでピアノを弾かれるかたが多いですね。

東大や早稲田大学のピアノサークルのレベルも非常に高いそうです。学歴や知的レベルの高い方に、ピアノが好きなかたや演奏が上手い方が多いのは確かだと思います。

仕事や勉強で忙しいにもかかわらず、一体いつ練習するのだろうかと思えるほどです。受験なのでピアノをお休みするということもよく聞きますが、非常にもったいないと思います。

ピアノを弾くことで脳が活性化されて、感性や集中力が研ぎ澄まされるのだと思います。またピアノ演奏は運動能力につながるものもあると思います。

ピアノの習い事は、他の習い事のように直接的に役立つものではないかもしれません。しかし、そこで学んだことは、相乗効果として多くの他の能力を高めていくことにつながっていくと思います。


自信を持って、YESです。

ピアノ調律師さん 談

自信を持って、YESです。

脳の専門家ではありませんが、40年間調律をしながら検証してきた項目ですので、タイムリーと思い、返答いたしました。

ただし、ピアノを習っているお子様である当事者が自覚しているかは、別の話です。

以前より、私が知るピアノの先生方の間では中学1、2年生の壁があると言われています。この頃になると進学のため受験勉強のためにレッスンをやめる生徒が多いと。

この事を地元の有名進学校の在籍生に「あなたが在籍する学校に合格するためレッスンをやめることに、どう思う?」と尋ねると。「なぜやめる?これは趣味でしょう?かえって気晴らしになるから続ける方が良いでしょう。」との事でした。

私は明快な答えと思います。多数のピアノ教師の方と仕事を通じて、この人達は普通のおばちゃんとは違う。教育者だなと思います。

発表会の利点。礼に始まり礼に終わる。お子様ひとりの時間。演奏がつまづいても止まっても、周りの人は手が出せない。見守るしかない。本人が最後までけりを付けなければいけない。プレゼン力を身に付ける。緊張感が半端ない。踏ん切りと達成感が人を育てる良い見本。

ピアノを習うと頭がよくなる。は本当と思いますが、本当に頭が良いと思われる人は、着眼点が違うと思います。

ピアノ(楽器)は道具、音楽は思考を活性化させるもの、解釈を発展させることで哲学的に視野が広まり、その経験が個人のモチベーションとなり、次世代につながる教育にも生かせると。

特にクラッシック音楽は200~300年の間、世界中で演奏されているのに、まだ飽きないジャンルなのです。終わりが無いもの。それにかかわる歓びに気付くことも、ひとつの幸せと私は思っています。

音は見えない。演奏の上達は買えない(練習しかないのです)。見えないもの、買えないものを所有することが、本当の贅沢なのだと私は思います。

頭が良くなるからはズレますが、音楽にかかわらないのはもったいない。ボケ防止、そして人生を豊かにできる一つの道具です。

音楽家ではない有名な企業家の方々がレセプション等でハイレベルな楽器演奏をされることがよくあると聞きます。自伝書物を拝見すると、音楽は世界の共通語だし、ご本人は経営者になっていなければ音楽家を目指していたかも? と記されていました。

あなたにとって死とは、アインシュタイン曰く、「モーツァルトが聴けなくなる。」


脳機能の向上に役立つことは間違いのないことだと思います

ピアノ調律師さん 談

ほとんどの脳科学者が口をそろえて言っているように、脳機能の向上に役立つことは間違いのないことだと思います。

  1. 指を動かすという作業は、脳からの信号によって行われる。又指が感じたことを脳にフィードバックして脳がその情報を得て、また指に信号を送る。それの繰り返し作業が続いていく。
  2. 楽譜を目で読む。脳に信号が送られる。脳がその情報を指に伝える。楽譜を読むという作業は、曲の進行より一歩進んで行われるため、先読みの訓練にもなる。
  3. 耳から入る音を脳が信号として感知し「心」に送り届けることにより感動が生まれる?鳴っている音が、皮膚・骨を通して全身に振動と感動が伝わる。
  4. 右・左別々な作業することにより、普段意識していない脳を意識して使うようになる。いわゆる脳が「汗」をかくことにより活性化される。

と、いいようなことばかり述べてみましたが、実際ピアノを弾くということは大変な事です。(常日頃弾いてらっしゃるあなたには簡単なことかもしれませんが……。)

音楽教室も開いており、最近大人の生徒さんが激増しております。子どもの頃、少しやってたという方は意外と復活が早いのですが、全く初めてという方もいらっしゃって、それこそどこが「ド」なのかも分からない。必ずおっしゃることが、右と左が別々に動かない……。ですよねーと、一旦共感してあげます。

しかしながら、左右別な動きというのは、日常無意識にたくさんやっているわけで、ピアノだけに限ったことではないんです!とお話しすると、納得されます。後は、指が速く動かない・・・というのもよく聞かれるお悩み。最初っから早く動く人なんていませんよ!一日10分でいいから毎日練習しまししょう!あかちゃんが少しずつ成長していくのと同じですよー!

3ヶ月頑張ると、一曲何とかなる。ハードルを一つ越える。そうすると達成感があり次への欲が芽生える。そうなったらしめたもので、1年で4~5曲は弾けるようになるんですねー。ここまで引っ張るのが優れた講師の仕事。弊社にはそのノウハウがあります。

音楽やるには適齢期はない。これがモットーでもあります。其々がそれぞれの中での音楽への関わり方を目指せばいいわけで、クラシックは良いの、演歌はどうのとか、速く弾ければよいのとか遅いのはダメだとか、そんなことじゃなくって、まさに読んで字のごとく音楽とは「おとをたのしむ」なんです。

がしかし、下手では楽しむことができないので、楽しめるようになるお手伝いをしているわけです。かつてドイツに行ったときにご縁があってあるご家庭に招かれた。そこの御主人が、ウェルカムの気持ちを込めてピアノを弾いてくれた。何と指一本で・・・。でも素敵な演奏で、充分心が温まりました。形にとらわれてはいけない。

ピアノに関わらず、あらゆる楽器が表現手段として存在しています。それらすべてが「脳の活性化」に役立っているはずです。もっともっと音楽の底辺が広がっていくように、調律に伺った先では、最後に演奏をお届けして帰ってきます。簡単な引き方を伝授申し上げることもあります。

数ある楽器の中で、ピアノの最大のメリットは、鍵盤という便利なもののおかげで「音が目で見える」ということです。「音」を楽器が造ってくれているということももう一つのメリットであります。

音楽は一生の友。皆さーん!先ずはピアノに触ってみましょっ!


頭を使う、指先を使う、筋肉を使う

ピアノ調律師さん 談

ピアノを習う事で頭が良くなるとは思いませんが、何かを習うという事は、頭を使う、指先を使う、筋肉を使う、という事で、脳や、身体機能の向上には役立つかなと思います。

勉強する、訓練する。結果、そのことについては身に付く。

ピアノが上手くなるか、ならないかは、頭の良さが関係してると思いますけど。

ピアノが上手い子は、勉強も出来て、運動も得意! こんな子が多いような気がします。


ピアノ練習での工夫や根気が、運動や勉強、仕事にも活かせるのでは

まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

手先の運動が脳に良いという考え方は、今や常識となっていますが、ピアノ練習過程の中にも、他のことに応用できそうな考え方があると感じています。

ピアノが上手になりたい、と思ったら、色々な練習方法を調べたり試しながら、失敗・成功を繰り返して自分に合ったものを探していきます。

またピアノは反復練習も必要です。時には飽きてしまったり、面倒になったり……。

それでも上手に弾けることをイメージしながら根気強く練習していきます。

ピアノ練習でつちかった工夫や根気が、運動や勉強、仕事にも活かせるのではないでしょうか。