Q&A: 男性調律師、女性調律師で違う点は何?

調律師さん方の視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 




Q
: Q&A: 男性調律師、女性調律師で違う点は何?


男性調律師さんと女性調律師さんで、違うと感じる点は何でしょうか?仕事の進め方、技術、接客、アフターフォローなどの観点からお答えください。ご意見の後は、その理由や具体例についてもおしえてください。

ピアノ調律.net 編集部



A:調律師さんの回答



男性には男性の長所短所があり、女性には女性の・・・と言いたいところだが男女差がなくなってきた感が否定できない。元々男性の職域だったところに女性がどんどん進出してきたこの業界。昔の調律師(男性)の印象で、「無口」「見せない」「説明しない」「笑わない」「怖い」などと、良いイメージがあまり聞こえてこなかった。徐々に女性が進出を始め、お客さまからは「女性の方にお願いしたいんですけど」などというオーダーが増えていった。理由は、家の中に上がってもらうのには女性の方が安心という心理状態からであって、むさくるしい愛想のない男の技術者が敬遠されてしまったのもやむなし、と言ったところでしょうか。
そんな経緯があって男性も清潔感(特に靴下はきれいに)やサービス精神を身に着け、悪いイメージを払しょくする努力を始めたのである。
そもそも調律は技術職であり、営業力より技術力の方が評価されてきた世界であった。世の中が変わり、何でもかんでもサービスサービス。お客様主体の風潮が高まり、例えば、「音をきれいに整えることより外装を磨き上げること」の方が受けが良かったりするようになる。服装に気を使い話術を磨き、笑顔の練習をする。調律後には演奏も披露する。ピアノの弾けない?調律師が音楽教室に通い始めた・・・なんてー話も。
技術職であった調律師に求められる姿が大きく変化し、職種としてはサービス業の仲間入りとなり、営業的なセンスが不可欠となった。技術職にありがちな「無愛想」では受け入れられなくなった。調律業界のみならず今や技術職全般に言えることで、「人と話したくないから、接触したくないから」などということでの選択では受け入れられないのである。

男女の長所・短所について話を戻さなくてはならないようだが、男も女もいろいろな人がいるわけで、どっちがどうだというような比較はできないしナンセンスであると思う。大きなグランドピアノを一人で動かせる女性もいれば、小さなアップライトを持ち上げることすらできない男性もいる。要は、仕事に対する考え方が問題なのであって、結論は「好きでやってるのかどうか」である。ピアノに対してどれほどの情熱が持てるのか、である。


昨今、患者の顔を一度も見ない、身体に触れようともしない医者が激増している。ピアノも「生き物」であるとすれば(そう思ってない調律師のなんと多いことか)、「彼」の話をよく聞いて、観察して手で確かめて最善を尽くす。そうすることによって弾き手の要求にこたえられるのである。相手が幼稚な子供であってもプロの演奏家であってもその「ピアノ」にしてあげられることにベストを尽くす。そういう姿勢がお客様に伝わり評価につながっていくのではないでしょうか。
良い調律師とは、先ずお客様とよく話をすること。なにを求めているのかを引き出すこと。そしてよく説明をすること。男だから女だから・・・は関係ありません。作業が完了したら一曲弾いてあげましょ。下手でもいいから!





仕事の進め方として、女性の方が段取りや実際の作業などにおいて、よりきめ細かくできるのではないでしょうか。
技術面ではハンマー操作において、男性の方が有利かも
知れません。微妙なハンマー操作が必要な場合、
大きな力の方がより正確にピンを回すことができると
思います。
調律以外の作業においては女性の方が得意かも知れません。
女性客が断然多いので、接客については女性が有利と思います。
アフターフォローは、個人個人様々なため、男性、女性
の違いはなく個人差が出ると思われます。




今回のテーマは難しいですね。それは、やはり同性の気持ちがわかる分、ひいき目に見てしまいがちだからです。
それでもなんとか公平な立場で述べていければと思います。

女性調律師と男性調律師の違い、それは仕事への取り組み方だと思います。これは調律に限らず、他の色々なことにも当てはまると思います。

例えば、ピアノの練習の取り組みかたです。
まず女性の場合ですが、コツコツと技術を着実に積み上げて上達していきます。気がついた時には曲が弾けるようになっているという感じです。
しかし、男性の場合は中々それでは満足しません。まず全体像を先に見て意識しておかないと、練習へのモチベーションが中々上がりにくいのです。少し背伸びをしてでも難しい課題に取り組み、後で足りない部分を埋めていくという感じです。
ピアノの先生によっては、男性の生徒さんの比率が高い教室もありますが、おそらく先生も男性の生徒さんの気持ちを理解してうまく誘導してくれているのだと思います。
自分が弾きたい曲というのは、大体自分のテクニックよりレベルが高い曲がほとんどです。で、あえてそれを弾かせてあげることが男性の生徒さんの場合は特に重要だと思います。

他にもスキーなどが良い例えになるでしょう。下の緩やかな斜面から着実にに少しづつ技術を磨いていくか、それともいきなり上の急斜面に行って滑りに慣れていくかという違いです。
どちらが早く上手くなるのかというと、最初から急斜面に行った方が早く上手くなると聞きましたが、勿論それには多くの挫折も味わうこととなります。どちらかというと男性のスキーヤーの方が、こういう無謀な冒険をすると思います。

これらと同じことが調律師にも言えると思います。
女性調律師は、どちらかというと協調性や調和性を重視して仕事をして、着実に技術を積み上げて高めていこうとしていると思いますが、男性調律師は、時としてそれまでのからを破ってでも自分が目指す技術を体験し、後から足りない部分を補っていくという感じです。ですから、浜松や海外へ行って修行を積むということも多いと思います。

勿論、男女のアプローチの違いこそあれ、到達点は一つだと思います。
アメリカでは、履歴書に男女の項目はないそうですが、それだけ結果を重視する社会ということも言えるでしょう。平等社会と同時に厳しさもあると思います。
それでもアメリカにおいて教育の過程では、男女の学習方法の違いを考慮して教育を行っているとも聞きました。
良い結果を出すために男女の違いを考慮してどうアプローチしていくか、指導者の手腕も問われるかもしれませんね。

さらに、女性調律師と男性調律師の大きな違いとしてコミュニケーション能力があると思います。
顧客のほとんどが女性という状況で、やはり気心が知れた女性同士の方がコミュニケーションを取りやすいかと思います。顧客、調律師、お互いに女性指定ということもありますね。

総括すると、女性調律師は顧客とのコミュニケーションを重視し、男性調律師は仕事の成果を重視するという傾向があるように思います。
勿論どちらも大切なことだと思いますし、調律師も自分の得意分野を伸ばすことは勿論ですが、他の調律師の良い部分も見習うような姿勢も大切でしょう。
今はネットで様々な調律師を選択できる幅も広がりました。プロフィールなどを読んで、誰が自分に合った調律師か、上の文章が少しでも役立っていただければ幸いです。


ピアノの森・調律工房
森 一夫







 


ピアノ調律.net 編集部


 




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