Q&A: 平均律以外のピアノ調律法をする人は、実際にどれくらいいるの?

調律師さん方の視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 




Q
: Q&A: 平均律以外のピアノ調律法をする人は、実際にどれくらいいるの?



 ピアノ調律師の方に質問です。平均律以外のピアノ調律の方法に、ちょっと興味があります。純正律、古典的調律法などです。実際にお客さんの中で、そういった方法で調律をする人はどれくらいの割合でいるものなのでしょうか? またそういう人は、音楽家といったプロに近い方でしょうか?どんな方がそういう方法を好むのかも知りたいです。宜しくお願い致します。

ピアノユーザー様からの質問





A:調律師さんの回答







 よほどのマニアでなければいないのでは?

 music takano





平均律以外の調律法に関してはご要望があれば応じる用意はしておりますが、私がお伺いしておりますお客様には、プロフェッショナルな演奏家、ピアノ指導者の先生方、音大生、一般の方含め、ご自宅(ご所有)のピアノを平均律以外で調律してほしい、とご注文される方はほとんどいらっしゃいません。また、私は年間に数十件のコンサートの調律をお引き受けしておりますが、数年に一度(数百件に一件)くらいの割合で、演奏会で使うピアノを古典調律を含む平均律以外の音律で調律してほしいというご注文を頂くことはあります。最近(今年1月)お引き受けした事例ですと、2台のピアノを用意し、一台は平均律、もう一台を古典調律(キルンベルガー第一技法)で調律し、曲ごとに弾き分けて音律による響きの違いを鑑賞するという趣旨の演奏会がありました。同じ鍵盤楽器でもチェンバロやフォルテピアノ、(パイプ)オルガンなどは平均律で調律されるのはむしろ稀でほとんどが古典調律で調律されていると思います。



ピアノでのお客様で今まではありません。
チェンバロですと今までミーントーンやバロッティヤングなど調律したことがあります。

 



純正律や古典的調律法の具体的な説明はネット等で調べられますのでここでは省略しますが、私が今まで接したピアノのお客様には一人もおられませんでした。ただし、
チェンバロを所有されているお客様の中に一人だけ
おられました。
この方は音楽大学でチェンバロを専攻され、強いて言えば
セミプロでしょうか。
やはり当時の曲を、当時の楽器、当時の調律スタイルで
表現してみたかったようです。
この方は好むというよりは、ご自身の勉強(研究)のためだったと思われます。

ピアノ調律アミュース 鈴木栄蔵



当 調律ネットでのご依頼は8割の方が古典調律をご希望されます。
希望される方は音楽が好きで音律にもとても興味をおもちな方や平均律に疑問を感じていらっしゃる方々です。ご依頼者様はピアノ以外の楽器をされている方がいらっしゃいます。
ヴァイオリニストやトロンボーン、フルート、クラリネット奏者、声楽家もいらっしゃいます。

古典調律の種類はたくさんあります。
私は6種類の古典調律をレパートリーにしておりますが好まれる古典調律は限られます。
ですから最初にお勧めする古典調律を決めております。

古典調律が好きになるか嫌いになるかは最初にお勧めする古典調律しだいだと思います。


立川ピアノ調律技研  立川雅規

 



 古典調律については、以前何気なく自分のピアノを古典調律にしたところ、その響きの柔らかさに感動して以来、自身のホームページでも20年以上前から意見を述べてきました。お問い合わせの数は決して多くはありませんでしたが、熱烈な古典調律のファンのかたも何人かおられます。今でも、調律ネットさんを通じて何人かのお客様から御依頼いただきました。お客様についてはプロのかた、プロ並みに弾けるかた、音楽愛好家、理論派のかた、さまざまです。ただ、どちらかというとピアノ一本でやってきたかたより、ピアノ以外の楽器や歌を専門にする方、ピアノはプロ並みに弾けるが他に専門の仕事があるかた、趣味でピアノを楽しんでいるかたの方がより興味を持っていただけ、特色もよりわかっていただけたように思います。ピアノ専門でずっとやってこられたかたは、完全に平均律が染みこんでおられるため、逆に違和感を持たれるケースがあるように思います。そして、以外と順応するのがまだ常識にとらわれていない子供さんかもしれません。

実はこの古典調律、大変奥が深い調律です。説明すると一冊の本になります。かいつまんで申しますと、弦楽器、管楽器、声楽はみな古典調律で響いています。平均律はピアノなどの鍵盤楽器や、鉄琴木琴などの打楽器だけです。吹奏楽をしているかたで、平均律の響きがどうも合わないと言っていたかたも何人かいましたね。また以前、ヴァイオリニストのかたで伴奏ピアノを古典調律にしたところ、そのヴァイオリンと溶け合う響きに驚かれたと聞いたこともあります。
ピアノを古典調律にすると、平均律より柔らかい響きになります。どちらかというと、古典調律にした直後よりも、しばらく弾き込んで次回に伺った時にその特徴が顕著に現れていることが多いと思います。その時感じることは、決して平均律では味わうことが出来ない柔らかく豊で深みのある響きです。

 あと、古典調律にすると転調が出来なくなると思われているかたもいると思いますが、24全ての調に転調可能な古典調律もあるのです。(古典調律の種類は数限りなくあります。純正律は古典調律の中の一つです)平均律のように全ての音が同じ間隔ではなく、古典調律は多少ずれるので、その結果、調によって性格が変わります。多くの作曲家が、この調性の性格の違いを利用して曲を書いていると思われます。 そして、実は普段何気なく聴いている巨匠のピアノ演奏の中にも、古典調律で演奏されているものも結構あるのですよ。
いずれ紙面をさいて古典調律についてもっと詳しく話していければと思います。そして、古典調律の素晴らしさをこれからも伝えていければと思います。

ピアノの森・調律工房
森 一夫


 


ピアノ調律.net 編集部


 




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