Q&A: ピアノ調律技能士の制度で、良い点とそうでない点は?

調律師さん方の視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 



Q
: Q&A: ピアノ調律技能士の制度で、良い点とそうでない点は?


 ピアノ調律技能検定とは、ピアノ調律技術や管理の能力を問う国家資格です。2011年にスタートしましたが、現在まで上手く機能しているといえそうでしょうか。それの良い点とそうでない点について、現役調律師さんの思うところを率直にお聞かせください。

ピアノ調律.netからの質問





A:調律師さんの回答




ピアノ調律師協会の試験で入会してるので、今更新しい検定などいらない。と、ばかりに受けていない調律師が多いですね。
あるホールで技能検定取得の調律師限定としようとしたが、いつも来ているベテラン調律師が誰も持って無いということで、
取りやめになったと。




 良い点はお客様に信頼と安心感を持ってもらえる。


未だ一般に認知度が低く感じます。

ホール等に於いては、ホール側が技能士の有無を問わなければいけないと思います。
未だに決まった業者が調律を行っており、技能士を持っている調律師を使用してもよいと思います。




 ピアノ調律に国家資格という制度がなかったと聞いて意外に思われるかたも多いかもしれませんが、特にこの制度が出来たために仕事に変化があったという印象はありません。
それまで何十年も第一線で活躍してきた技術者は大勢いるのですから、国家資格ができたために仕事の質が大きく変るということもないでしょう。しかし、この制度を目標に勉強して技術の精度を上げる、そして基本に立ち返るというのは大いに良いことかと思います。
ただ、この国家資格をとった技術者ならすべて問題を解決してくれるかというと、そうとも限りません。まず、大がかりな修理の試験は含まれていません。ですから、オーバーホールレベルの修理を全員が出来るとはかぎりません。それから、この試験に音色調整の整音が含まれていません。ピアノの3大整調として、音程調整の「調律」、メカニック調整の「整調」、音色調整の「整音」があるにもかかわらずです。音色というのは音程のようにきちっと数値に出来ないために、評価の基準が難しいこともあるでしょう。それゆえ試験科目にはしにくい面もあると思います。
確かに肩書きの力は大きいと思います。国家資格取得調律師、どこどこの会社の調律師、どこどこのピアノのコンサートチューナー・・・。責任ある立場にいる調律師、確かに大いに信頼できるでしょう。しかし、信用して頼んで高額な調整料と長い調整時間をかけたものの、それほど変らなかった、かえって悪くなった、という相談も何度かいただきました。ほとんどが音色調整に関する問題です。
国家資格がなくても、沢山の経験を積んで一定以上の調律が出来ている技術者がほとんどです。しかし、一定以上の整音が出来ている調律師はあまりいません。それが実情です。
今後の問題として、よりピアノ文化を発展させるために、音色調整の整音の文化、技術を発展させることは大いに必要なことではと思います。そのためには、調律整調、そして音色調整の整音まで含めたトータル的なピアノの魅力作りの評価という制度が将来あっても良いかと思います。例えば料理おけるミシュランガイドの評価がそうですね。料理の魅力は決して数値で表わすことは出来ませんが、トータル的な評価をしているのがミシュランガイドですね。それはピアノにおいても同じ事で、音色調整の整音まで行なってこそ評価の対象となり得るのです。音楽性まで含めた総合的な音作りへの評価、将来いずれ必要になる時が来ると思います。

ピアノの森・調律工房
森 一夫


 


ピアノ調律.net 編集部


 




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