Q&A: 調律師さんを変えることのメリット、デメリットは?

調律師さん方の視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 



Q
: Q&A: 調律師さんを変えることのメリット、デメリットは?


 前回までは同じ調律師さんに調律やメンテナンスをしてもらっていた。でも、たまには別の調律師さんに頼んでみようかなと思うユーザーさんもいらっしゃると思います。その時のメリット、デメリットについて、率直にご意見を聞かせてください。

ピアノ調律.netからの質問





A:調律師さんの回答


先ずはメリットからですが、技術力の高い調律師に当たるとより良いサービスを得られること。弾きやすさや、ピアノに対する色々な要求に対してのレクチャーですね。
デメリットは、定期的にメンテナンスする調律師はピアノの癖を良く知っているので、的確な作業と時短が望めます。
クライアントはそれが手を抜いているのではないかといぶかしる傾向があるようですね、
昨今のネット社会において情報量の多さから、選ぶ側においても
ロシアンルーレットみたいなものですが。安く上げるには、
最適なツールと思えます、

調律師側からの意見としては、高い技術力を適性価格で高く売りたいのは心情ですから、数十年放置したピアノをただ同然の値段でメンテして一時しのぎで更に放置するという負のサイクルが発生します。
非常に嘆かわしい事ですが、平成世代においてありがちな事例ですね、

定期的にメンテすればかなりの年数使えるアイテムが、
使用者側のわがままにより短命を余儀なくされています。

一時しのぎではなく、長期的に考えて頂ければもっとピアノを
延命出来る筈です。

先日も問い合わせで30年以上放置したピアノを安価に修理しようとするクライアントがいて、適性価格以下の見積もりを出したのに、もっと安い業者を当たるとのことで、やらないクライアントがいましたが、

我々にしては嘆かわしい事です。

music takano




ピアノ調律師にはいろいろな方がおられ、男性か女性か、
年齢や経験、技術力、人柄等、様々な方がおられます。
別の方に頼んで、これまでの調律に比べ、ご自身が納得された場合は良いですが、そうでない場合は不満が残ります。
別の方にお願いするときは、経歴や評価・料金などを参考にして、ご自身の好みの音をつくってくれるかどうか、
一番はその部分かと思います。
更には作業時間と料金の兼ね合いで、調律や調整・整音の精度を上げるにはそれなりの作業時間がかかります。
どの辺までの精度を希望されるかによっても変わってくると思います。
情報をしっかりと吟味されてから行動なさってください。



メリットばかりで、デメリットはない!と、乱暴な言い方ですが、医者にかかるのもセカンドオピニオンが当たり前。最近はセカンドどころか、サード・フォースと患者が医者を選ぶ時代。それによって、治らなかった病が救われたりすることが多々ある。

医者も人間ですから、過ち・見過ごしなどを起こすことは否定できないし、非難もできない。確かに日常的に観てもらえる主治医は必要ではありますが、そればかりに頼ることは危険であるわけで、時として他の診断も仰ぐべきであると考えます。

調律師は、いわばピアノの医者であるわけで、主治医は必要ではあるのですが、同じく時として他の技術者に観てもらうことも必要ではあります。これも人間のやることですから、見立て違いもあり得るし、技術が不適切なことだってあるわけです。演奏者・使用者の方が、ピアノに対して何らかの不足感や不満を感じたら、迷わず他の技術者を呼ぶべきです。主治医に遠慮したりすることなんかありません。そのことで、もし主治医から何らかの嫌がらせ?があったら、その主治医は変えるべきです。

問題は技術力の違いだけではありません。音の世界なので、技術者の感性が演奏者・使用者の好み・要求に大きく影響します。作業としての技術が素晴らしいとしても、音に関する感性がなかったら話になりません。技術点が高くても芸術点が低くては話にならないのです。日本人はその器用さゆえに、あらゆるジャンルで技術点は高い反面、肝心な芸術点が追いてこない。見た目おいしそうな料理でも、味が追いてこなければその見た目も意味がないのです。

では、調律師の感性はどうやって見分けたらいいのか?
極論ではありますが、ピアノが弾けるか否かであります。
車の整備士が実際には運転できないとしたらどうでしょう。確実にレシピ通りに整備ができたとしても、走らせてみなければわからないわけで、ピアノも実際に弾いてみなければ仕上がりの状況はわからないのです。したがって作業後に演奏しない(できない)調律師は変えるべきです。

変えるべき理由はほかにもあります。料金を明確に伝えない・作業を見られることを嫌う・やたら時間が長い(なんの説明もなく5時間も・・・というお客様の戸惑いを聞いた)。逆に短い(30分ほどで終わってしまった)・ほとんど口を利かない・服装が不潔・・・・・・等等。

人のふり見て・・・。もちろん私にも気が付かない欠点が多々あるわけで、反省の日々であります。




メリット、デメリットの判別は中々難しいとおもいますが、メリットについてはお客様から言われたことの有る感想になり、私自身「確かにな~」と思ったことをお伝えします。

◎メリット◎
・ピアノの雰囲気が変わるかも
・前の調律師に言い難かったことが言いやすいかも


◎デメリット◎
・ピアノの雰囲気が変わるかも
・調律師とお持ちのピアノの関係性がはじめまして状態。
・お客様と調律師もはじめまして状態なので「いつもの!」が通じ難い。


ピアノの雰囲気変わるかも、
は、どちらも好くも悪くもといった感じでしょうか。調律師を変えると、調律にその人のカラーも反映されていると思いますので要望をちゃんとお伝えした方が良いと思います。

前の調律師に言い難い~、は例えば
掃除してほしい
ピッチ下げ(上げ)てほしい
調律師が来るとピアノの動きが良くなるので中々言い出せない
などがあって気を使ってしまいモヤモヤしていた等言われたことがあります。

関係性がはじめまして状態、は最初にピアノの状態を知るために作業に時間がかかることはありますが次からは大体いつも通りの時間内で作業にあたれると思います。

上に書きましたデメリットは人によって感じかたが違うと思いますし、デメリットと言うほどではないとは思います。
また、上記のデメリットは作業後に発行される(調律師によりけりですが)であろう作業報告書等を保管しておけば引き継ぎにもなるので防げるのではないでしょうか?






「調律師さんを変えることのメリット、デメリットは?」

基本的に同じ調律師が一つのピアノを担当し責任を持つのが一番いいと思います。その方が、そのピアノの特徴についてより理解することができ、より良い状態をつくることが出来るからです。特に音色に関しては、弾き方や経年、環境によって変っていくものなので、一回の調整だけではまとまらない場合もあります。同じ調律師が担当して最後まで責任を持って音作りをまとめる方がいいでしょう。ピアノは他の楽器や歌のように演奏者が自分で音色を作ることが本当に難しい、やはり音色を作る技術者の力が絶対に欠かせません。その他、お客様との気心やピアノに対する好みも理解する上で長年にわたって一人の調律師が担当した方が良いと思います。
しかし、勿論その調律師の調整がしっくりこなければ変えること、いわゆるセカンドオピニオンは大いに結構だと思います。今ではこのようにネットで調律師選びも出来る時代、まだネットへの不安はあるにしても、一昔前の楽器店の看板か電話帳くらいでしか選べない時代と比べたら、格段に選択できる範囲は広がったと思います。お客様にとってこの人だと思える技術者に出会えることは本当に嬉しいことでしょう。
あと楽器店によっては、あえて毎年違う技術者を担当させるというところもあるようです。それぞれの技術者同士を切磋琢磨させて良い技術を提供するためと謳っているようですが、私としてはたとえそれがあるにしても、顧客を個人の技術者に持っていかれないようにする予防的な措置もあるのではないかとも思います。
一つのピアノにどれだけ責任を持って臨むことができるか、音作りは時に根気を必要とすることもありますが、お店や会社の経営者の方達もその辺りは理解して頂いて技術者に大きな気持ちで託していただきたいものです。そのことは決して目先の利益ではなく、後々大きな利益となってお客様や会社、そして技術者に大きな潤いをもたらすでしょう。


ピアノの森・調律工房
森 一夫


 


ピアノ調律.net 編集部


 




バックナンバー一覧


メルマガ登録・解除 ID: 0000236488
人気調律師達がやさしく語る♪ピアノと調律に役立つ話
   
バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ

---------------------------------------------------------------------




■調律師への質問

ピアノや調律にかんして疑問・質問があれば、ぜひピアノ調律.netの登録調律師に質問してみてください。
読者のみなさんに参考になるご質問に関しては、調律師より回答し、メルマガ上で公開いたします。

具体的なご質問、どしどし、お寄せくださいませ。
お待ちしております。
質問・疑問はこちらのフォームから。


■執筆者への感想・メッセージ

感想・メッセージは、こちらのフォームから。
「~さんのメルマガ記事感想」と題して、記事の執筆者名を明記してお送りください。
いただいた感想は必ず執筆者までお届けします。
ただし、執筆者からのご返信は確約できかねますので、その点、どうぞご了承ください。

執筆者も、感想を楽しみにしていますので、どしどしお待ちしております。

---------------------------------------------------------------------

■ 
□■ ピアノ調律師は、もう自分で選ぶ時代です。 

好みのピアノ調律師を選べるサイト

----------------------------------------------------------------------
メールマガジン 【人気調律師達がやさしく語る♪ピアノと調律に役立つ話】
----------------------------------------------------------------------
□ 発行・編集 : ピアノ調律.net 
□ ウェブサイト : 「ピアノ調律.net」 
□ 配信期間 : 不定期
□ 社内・友人など転送はご自由です。
□ ご意見・ご感想はこちらからお願い致します!

----------------------------------------------------------------------
     Copyright (c) 2008 ピアノ調律.net. All rights reserved. 
----------------------------------------------------------------------