Q&A: ヨーロッパのピアノは、日本では鳴りが悪いのか?
Q: Q&A: ヨーロッパのピアノは、日本では鳴りが悪いのか?
趣味でピアノを弾いていますが、将来はスタインウェイやベヒシュタインといったヨーロッパのピアノを所有してみたいと夢見ています。ただ、ヨーロッパのピアノは日本の環境に合わないので、鳴りが悪かったり、メンテナンスが難しいといった話をよく聞きます。本当なのでしょうか。実際はどうなのか教えてください。よろしくお願いします。
ピアノユーザーからの質問
A:調律師さんの回答
実際の話をします。東日本大震災の折まで、約100年前のアメリカンスタインウェイピアノを所持してメンテして弾いていましたが
震災後被災して引っ越して置き場所が無くなり、泣く泣く手放しました。 鳴りはよく、良きパートナーでした。
メンンテは通常の調律技術があれば可能です。但しスタインウェイはピンブロックがないために、ピンをぐにーっと持ち上げながら回さないと回らないし、アクションも専用治具が必要なので、自作して対応できます。
ヨーロッパ等のピアノは日本に輸入して、半年から一年かけて日本の気候に合わせながら調整してます。まあそれだけ手間がかかるので高いのも頷けますが、仕入れ値が不明なために一手販売の会社はボロ儲けと言うわけですね!
高いピアノを買ったからいいだろうではなく、如何に定期的に
優秀な技術者が弾き手の意見を聞きながらメンテするかどうかですね。後専用の部屋を用意できるかどうか?と言うことです。
所持していた当時は専用の12畳板の間に置いてましたから、
空調設備あれば最高ですね。
都内の億ション辺りなら可能です。ではでは~
music takano
本当の話です。その理由はやはり環境です。
日本は四季があり、年間を通して湿度がかなり変化をしますので、ピアノの状態が落ち着きません。湿度の多い時期と少ない時期では調整が変ってきます。これは調律や整音に関しても同じことになります。一方、ヨーロッパでは
湿度が少な目で日本ほど変化しません。その様な環境で製造されたピアノは日本に入るとどうしても変化してしまいます。
これが鳴りが悪くなったり、メンテナンスが難しくなる原因です。
然し、最近では日本でも恒温恒湿の部屋ができてきて、一昔前よりはよくなっています。
また、メーカーの方でも日本向けの材料管理がなされ、対策をされているという話も聞きます。
結論として、ヨーロッパのピアノを所有される場合は、その環境をヨーロッパ風に合わせてあげることが大事なのではないでしょうか。
ヨーロッパでは響いたが日本では鳴りが悪くなったなど、ヨーロッパのピアノを日本に持ってきた場合、響きが変るということを聞いたことがあります。おそらく気候による音の変化であると思いますが、そのため日本からヨーロッパに送るピアノは、ヨーロッパ向けの音作りをしているようです。
このような現象は、気候変動の激しい日本国内でも起こります。梅雨時期に極端に鳴りが悪かったピアノが梅雨明けと同時にいきなり響くようになった、冬場の乾燥時期にピアノが良く響く、など木で出来ているピアノはそれだけ環境の変化を受けやすいのです。
特にヨーロッパのピアノを日本に持ってきても問題が起こるようなことはありません。ただ、日本のピアノ、ヨーロッパのピアノ、それぞれ湿気や乾燥への配慮には十分に気をつけるべきでしょう。
そして、気候の違いを音作りの言い訳にしないことです。例えば、「ここは日本ですからヨーロッパとは環境が違います。ですからこのような響きになるのはしかたありません」など。ピアノが置いてある気候や環境に合わせて音作りをすれば、本来の出るべきピアノの音は必ず実現できます。
勿論、名器と言われるピアノほど音作りが難しいのも事実です。それは、調整のちょっとした変化が音作りに反映されるため、少しでも悪い調整をすればそれがすぐに音に現れます。逆に良い調整をすれば確実に良い結果として音に反映されます。名器と言われるスタインウェイ、でもたまにこれがスタインウェイ?と思われるような鳴りが悪くタッチも重いピアノがあります。その殆どはピアノに原因があるのではなく、ピアノの調整の仕方に原因があるのです。
ピアノの森・調律工房
森 一夫
ピアノ調律.net 編集部
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