ピアノの置き場所、ピアノを和室に置いてよいの、悪いの?

  • 新しく購入予定のアップライトピアノを和室に置きたいと思っています。今のところ、そこしか置き場所がなさそうです。しかし、和室は音がデッドになる(あまり響かない)と聞きました。音の響きはそんなに悪くなるでしょうか?

今回はピアノの設置環境についての質問を、ピアノ調律師さんにぶつけてみました。何かしら参考になれば幸いです。

ピアノを和室に置いてよいの、悪いの? ピアノを置く場所の注意点

ピアノ調律師さんからの回答をご覧ください。


響きを少しでも良くしたい場合、壁からこぶし一個分以上空ける

前田調律事務所

前田調律事務所
(和歌山県和歌山市松ケ丘)
 前田さん

一般のご家庭でピアノを置かれる場合、和室であっても洋室であっても、気にされるほどの大きな違いは少ないでしょう。なぜなら、普通のご家庭に置かれている家具により、音がかなり吸収されてしまうからです。

家具が何も置かれていない、20畳以上のフローリングの洋室であれば、家具が置かれている6畳程度の和室に置かれている状態より音がよく響くと思いますが、そのようなピアノ専用の広い部屋を作れるご家庭は極めて少ないでしょう。

実際に調律にお伺いして、和室に置かれているピアノと、洋室に置かれているピアノの響きが大きく違うと感じることはほとんどありません。

和室に置いたピアノの響きを少しでも良くしたい場合、ピアノを背面の壁からこぶし一個分以上は空け、家具を可能な限り少なくするとよいでしょう。

響きとは関係ありませんが、畳ができるだけ痛まないように、丸いインシュレーターではなく、専用の敷板を敷くようにすることをお勧めします。また、一畳程度の大きさのコンパネのような板を敷いて、ピアノの重みを分散させるようにしている客様もおられます。


洋室より部屋の湿度管理をしっかり行ったほうが良い

ピアノ調律さん 談

洋室に比べれば確かに響きは落ちるかも知れませんが、全く響かないということはありません。

ただし、和室の場合、床が畳のケースが殆どのため、畳は湿気を多く含みやすくなります。また。障子や襖も湿気を含みやすいので、洋室より部屋の湿度管理をしっかり行ったほうが、ピアノのためには良いと思います。

多湿は故障の原因になり、良くありませんので、特に夏場は除湿器の設置をお勧めします。


湿気、虫、敷き板による不安定さ等々デメリットが多い

Music TAKANO

Music TAKANO
(茨城県水戸市六反田町)
 阿久津さん

2021年現在、賃貸住宅も含めて、畳の部屋が激減していて、新築住宅に至っては廊下すらない有り様です。畳の部屋に至っては使い勝手のいい琉球畳ですからね。

おく場所がなければ、畳の部屋でしょうがないか、て感じでしょうね、畳の部屋のメリットデメリットは、音が小さめになるのがメリットで、湿気、虫、敷き板による不安定さ等々デメリットが多いです。


和室に合う音のピアノを選びましょう

立川ピアノ調律技研

立川ピアノ調律技研
(神奈川県藤沢市本鵠沼)
 立川さん

ピアノの音色は置き場所によって変化いたします。和室に合う音のピアノを選びましょう。

沈んだこもった音のピアノは、鳴りが悪くなりますので注意して下さい。音色は好みですから文書ではアドバイスいたしかねます。お店の人のアドバイスを受けましょう。

畳に置かれたピアノの注意点、畳は平らでなく不安定です。アップライトピアノの場合、置き場所を少し変えただけで狂いを生じます。重量は200~280㎏、4個のキャスター(4本足)床が平らでなくても自分の重みで床に密着しようと捻ってしまいます。

現代のピアノは二重交叉弦、低音部と中音部で交叉している為、中音部やや左~低音部にかけてオクターブが狂います。畳替えなどでピアノを動かした場合、調律した直後でも狂いますのでご用心なさって下さい。グランドピアノは足が3本の為、狂いません。


響きに合わせて整音で音色を作ればいいのです

ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

和室のほうが確かに響きがおさえられるという側面はありますね。畳が響きを吸収しますからね。

ただあまり神経質になることもないでしょう。その響きに合わせて整音で音色を作ればいいのです。響きに誤魔化されない分、音色作りは神経を使うかもしれませんが、そのピアノ本来の音が出る可能性はあります。

あと、今の多くのお宅は洋室をリビングなど居住環境としているケースが多く、和室は離れの部屋が多いですね。ピアノにとってはエアコンが絶えずきいているリビングよりも、離れの部屋に置いた方が安定し、音の狂いも少ないです。

リビングの隣に畳の部屋があるという間取りも多いのですが、その場合は和室を使わない時は出来れば部屋を仕切ってリビングの冷気や暖気がピアノが置いてある和室に向わないようにしたほうが良いでしょう。