ピアノ鍵盤で、象牙と人工象牙ではどんな違いがありますか?
- 以前使っていた古いアップライトピアノは天然の象牙の鍵盤でした。最近は人口象牙の鍵盤があるようですが、買い替えのため検討しています。象牙と人口象牙の鍵盤について、それぞれメリットとデメリットについておしえていただけますでしょうか?
今回は象牙と人工象牙の違いについて、ピアノ調律師さんに聞いてみました。参考になれば幸いです。
ピアノ鍵盤で、象牙と人工象牙ではどんな違いがありますか?
ピアノ調律師さんからの回答をご覧ください。
象牙はザラザラ感、人工象牙はスベスベ
ピアノ調律さん 談
象牙と人口象牙は弾いた時の感触が違うと思います。象牙はザラザラ感、人工象牙はスベスベしていると思います。
性能はほとんどかわりないです
Music TAKANO
(茨城県水戸市六反田町)
阿久津さん
性能はほとんどかわりないです。
出始めの人口象牙は、手の汗で黒く変色しましたが、いまは大丈夫です。
天然象牙は今てにはいらないですからね。あったとしてもばか高いです。
人工象牙はアクリ鍵盤よりは感触が本象牙に近いです
ピアノ調律さん 談
天然(本)象牙は弾き心地がしっとりした感じがあり、滑りにくいですが、長く使用すると黄色く変色してもろくなります。人工象牙は天然よりもやや滑りやすいですが、丈夫で変色しにくいです。
現在、本象牙は入荷できないため、新しく本象牙の鍵盤を製造することは難しいです。そこで開発されたのが人工象牙で、今はこれが主流ですが、アクリ鍵盤よりは感触が本象牙に近いです。
本象牙鍵盤を汗かきの人が弾いた後、その汗が乾いて白鍵が黒く汚れたこともありました。
ワシントン条約で象牙の輸入が不可能になり、人工象牙を開発
ピアノ調律さん 談
プラスチックが一般的でなかった頃白い物で加工しやすいものが象牙でした。
また、多孔質というか細かい穴があり汗を吸ってくれることから弾きやすい、滑らないと言うことで象牙が白鍵に使われるようになりました。
そのため長年使用すると汗を吸って黄色く変色します。
ワシントン条約で象牙の輸入が不可能になったためメーカーは人工象牙を開発せざるを得ませんでした。
YAMAHAではニューアイボリー、KAWAIではファインアイボリーと呼んでいます。
私はYAMAHA出身なのでニューアイボリーに関して言えば初期から何世代も経て今に至っています。
初期のものは肌触りが象牙に近く気持ちよかったんですが、汗を吸いすぎてしまい変色が早いという欠陥がありました。
当時黒鍵にも黒檀の上に黒い塗料を塗布していたのですが、それが溶け出し白鍵に染みて白鍵が黒くなるという事で、クレームとなり無償で全交換する事になりました。
現行機種では変色は無くなったものの、肌触りを追求したのか柔らかく、沢山弾かれる人は白鍵が擦り減り段差ができてしまうものも見られます。そのすり減った所に、汚れや汗が溜まってしまう事があります。
ワシントン条約で新規の購入ができなくなったとはいえ、国内に在庫はかなり有ると思われます。
数年前にYAMAHA関係者に聞いたところ、在庫はあるけれど象牙を鍵盤に引く職人が、いなくなる方が早いかも知れないとのことです。
YAMAHAのフルコンなど、一部機種は国内使用の場合象牙鍵盤となります。
ヤマハやカワイのアップライトピアノは、昭和時代のほうが品質が良いか? 素材や音質などは違うので …