Q&A: ピアノのハンマー成形(整音)後、音が早くキンキンし始めるのはなぜ?

調律師さん方の視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 



Q
: Q&A: ピアノのハンマー成形(整音)後、音が早くキンキンし始めるのはなぜ?


 昨年の秋に、グランドピアノの高音がキンキンするのが気になりだしたので、調律師さんに音質の調整(整音)をしていただきました。ハンマーを削ったり、針を刺したりする作業でした。ただ、作業後すぐは素晴らしく良い音質だったのですが、その後3か月になるかならないかでまた元のようにキンキンする音になってしまいました。元々放置期間が長く、あまり手入れをしていなかったピアノです。このくらいの期間(秋の10月から12月)で元にもどってしまうのがふつうなのでしょうか?それとも他に原因があるのでしょうか?よろしくお願い致します。

ユーザー様からの質問






A:調律師さんの回答

お答えしますね、ピアノ納品して10年経過すると、先ずはハンマー整形は断線を予防するのと整音には欠かせない作業ですね

整形後に音がキンキンするのは、整形後にピッカー等で整音してないかいないか、不十分な作業を感じます。

特にYAMAHAのハンマーは固いので、整音が不十分であれば直ぐに元の固さに戻る習性がありますので、複数回チャレンジが必要です。

後考えられるのは、ピアノが設置されてる部屋がフローリング?かもです。ゴム性のインシュレーター等で防止すれば大分抑えられます。

MusicTAKANO





音がキンキンするのはピアノを弾くことによりハンマーのフェルトが弦に当たり潰れて固くなるからです。
それを元に戻すためハンマーに針を刺します。
メーカーや機種によってフェルトの巻き方(固く巻くか柔らかく巻くか)が違うので元々固いフェルトのハンマーですと早く固いキンキンした音になります。
そうかと言って針の刺し過ぎはフェルトの寿命を早めます。様子を見ながら少しずつ刺していくのがベターだと思います。
経験上最初は3ヶ月しか持たなかったのが何回か繰り返すことによりキンキンしない音の期間が伸びていくように思います。





高音がキンキンするのは、使用によりハンマーが弦を何度も打つためフェルト部分が硬化していきます。特に弦が
直接当たる部分は特に硬化します。また、使用により
ハンマーフェルトの硬さに斑があると、打弦時の3弦の同時打弦が狂い、音が濁ってきます。
3か月で元に戻ってしまうのは、それまで手入れがされていなかった時間が長かったからではないでしょうか。
或いは、ピアノの使用が絶対的に激しければ当然元に戻ります。また、特に乾燥の時期はその影響が多く出ます。
対策としては、ハンマー整形と3弦の同時打弦をしっかり行い、フェルトの硬さに斑なく、少し多めの針を刺してみてはいかがでしょうか。
勿論、普段の湿度管理は絶対条件です。



厳密にいいますと、削ったり針を刺したりしたハンマーは元に戻ることはないので、元と同じ音になることはありません。しかし、キンキンや逆にモコモコした響きが強い場合は、一回整音してもまたキンキンやモコモコが戻ってくることはよくあります。音を大きく変えた時も、後々バラツキが出てくることはよくあります。それを見越して調整できれば一番なのですが、予測できない面も多いので、気になったら調律師に頼んで再度みてもらう、ユーザーのかたもある程度根気よく対処していただくことは必要です。そのとき調律師が「こんなものですよ」と言うのであれば、他の調律師を探したほうがいいでしょう。あくまでも弾くかたの感性が何より大切で優先されるべきです。ただ、キンキンした音を変にモコモコにされるよりは、何もいじられないほうがまだましです。整音は調律や他の調整のようにネジを締めたり緩めたりすれば元に戻るというものではありません。それゆえ絶対に経験と自信を持った調律師に委ねるべきなのです。
あと、どんなに整音してもキンキンが消えない場合もあります。それはハンマーに硬化剤が塗られたピアノです。この場合はハンマーを交換するしかありません。一瞬で音が変ってしまう硬化剤の威力、安易な気持ちで使用してしまう技術者もいますが、全く音楽的な音からかけはなれます。極力使用は差し控えるべきです。
先ほど、一回いじったハンマーは元に戻らないと述べましたが、それは悪くすれば悪い状態がずっと続き、良い状態にすれば良い状態がずっと続くということも意味します。本当に音がわかる調律師を信じて音作りをしていけば、元の音とは全く違う素晴らしい音になっていることに気が付くはずです。

ピアノの森・調律工房
森 一夫


ピアノ調律.net 編集部


 




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