【ピアノと調律】のメルマガ・バックナンバー 11年4月
ピアノ調律師だからわかる!ピアノで“いい音”をだすコツ
■今回のメルマガ執筆者
中嶋ピアノサービス
中嶋 (東京都青梅市) |
こんにちは!
中嶋ピアノサービスの中嶋です。
今回はピアノの“音の出し方”についてのおはなしです。
調律師は、調律がおわると「タラララーーーン♪」とピアノを弾いて、音質のチェックや、雑音が無いかなどをチェックします。
これを聴いたお客様からよく、
「すごくきれいな音になりました!」
とおっしゃっていただくと共に、
「やっぱり調律師さんってピアノお上手なんですね!」
と言われることもあります。
いえいえ、自慢ではありませんが私自身ピアノの演奏は決してうまくはありません。
もちろんピアノがすごく上手な調律師もいますが・・・調律師は演奏のプロではありません。
ではなぜ調律師が弾くときれいに聞こえるのでしょう?
それは、調律師は良い音を出すために“あること”を意識してピアノと接しているからなんです。
ピアノは演奏者が鍵盤を押すことで音が出ますが、実際に音が出るのは、“ハンマー”が“弦”を叩いているからです。
調律師がピアノの音を出す時に意識しているのはこの「ハンマーが弦を叩く」ということ。
これを意識するだけで、ピアノの音質をコントロールしやすくなり、ムリの無い、自然な心地良い音が出せます!
以前あるイベント(ピアノ演奏と身体表現のパフォーマンス)で調律した際に、ピアノを弾かれた方の演奏がすごく気持よかったので、終演後ご本人とお話させて頂きました。
その方は本職はピアニストではなくギターや作曲とのこと。
なるほど!と納得しました。ギターやバイオリンなど弦に直接触れて音を出す楽器の奏者の方は、この、“弦を震わせて音が出ている”ということをものすごく意識しているのです。
弦楽器は実際に弦に手で触れて演奏するので当然ですよね。
この演奏者の方も無意識のようでしたが、弦のことを意識してピアノを弾かれていたのだと思います。
ピアノはどうしても演奏者の手と弦のあいだにワンクッションあり、しかもそれがピアノ内部のことで普段は見えないのでどうしても、どうやって音が出ているかという事を忘れてしまいがちです。
太鼓をバチで叩くときを思い浮かべてみてください。
ただ闇雲に叩くだけでは良い音は出ません。バチの先にどのくらい力が伝わっているか、その力加減で太鼓は気持よく振動しているか、考えながら叩くことで良い音が出ます。
乗り心地の良い車の運転をする人は、4つのタイヤの位置や道路の状態、タイヤと道路との関係を意識しながら走っていると言います。
これをピアノにも応用しましょう!
鍵盤はハンドル、ハンマーはタイヤ、弦は道路、に例えるとわかりやすいかもしれません。
「鍵盤を押して音を出している」
のではなく、
「ハンマーで弦を叩いて音を出している」
ということを意識してみてください。
とは言っても、
「ハンマーってどんなもの?」
「どういう風に弦を叩いているの?」
となりますよね。
もちろんこれらを知らないと意識できませんよね。
グランドピアノであれば、譜面台を外すとハンマーの動きが良く見えます。
アップライトピアノでも上の蓋をあけることで、ハンマーが弦を叩いている様子を見ることができます。
鍵盤のアクションを前に引き出したところ |
ハンマー |
立ったままで弾きづらいと思いますが、ぜひ一度、ハンマーが弦を叩いているのを見てみて下さい。(ピアノの中にものを落とさないよう気をつけてください!)
調律師が来た際に、ピアノの外装をはずした状態で弾かせてもらうようお願いするのも良いかもしれません。もし可能であれば、ハンマーがどんな材質、形なのかを触らせてもらってみてください。
もちろん良い音というのは人それぞれですが、このことを意識するだけで今より確実に良い音になるはずです!
“ピアノの音を出すプロ”ピアノ調律師からのアドバイスでした♪
中嶋ピアノサービス 中嶋
(東京都青梅市)
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