ピアノを続けるコツは、何だとおもいますか?

  • ピアノは短期間では上達しません。しかし、小さい子は集中力が続かなかったり、大人の場合、仕事が忙しくて弾く時間が取れないなど。ピアノの上達には時間がかかるので、モチベーションの維持も大変です。

この記事では「ピアノを続けるコツ」について、色々なピアノ調律師さんに意見を聞いてみました。参考になれば幸いです。

ピアノを続けるコツは、何だとおもいますか?

以下、ピアノ調律師さんからのご意見です。


続ける努力 = 飽きない工夫をすること

つくしピアノ調律所

つくしピアノ調律所
(埼玉県入間市)
 中嶋さん

趣味をやめてしまう理由のほとんどは「飽きてしまう」ということに尽きると思います。

どんなに長く続けていた趣味でも、一度飽きてしまうとなかなか再燃させるのは難しいです。

私も今まで色々な趣味をはじめてはやめて、を繰り返してきたのでよくわかります……。

続ける努力をするということは、飽きない工夫をするということでもあります。

では、どうすれば飽きないのでしょうか?

コツは刺激を与え続けることだと思います。

新しい曲をはじめたときや、難しい奏法にチャレンジしているときなどは、刺激があり「飽き」からは遠い状態です。

それが弾けるようになったり、発表会に向けて練習していて本番が終わってしまったときなどは、刺激がなくなり「飽き」が来てしまう危険なタイミングです。

そういったときにまた新たな曲に挑戦するというのも良いのですが、気力も体力も時間も必要ですし、その繰り返しだけでは辛くなってきてしまいます。

そんなときにおすすめなのが、演奏をする以外にも常にピアノ関連の情報を仕入れることです。

ピアノやピアニストについてのコラムを読んだり、ピアノの歴史を調べたり、新製品の情報をゲットしたり。

それらの新しい情報が刺激となり常にピアノ自体への興味を持続させることで、必ずまた弾きたくなるモチベーションに繋がります。

ピアノの月刊誌にはどの号から読んでもわかりやすい、そういった記事が充実しているのでおすすめです。

実際にピアノの月刊誌を定期購読されて本棚にずらっと並んでいらっしゃるお客様は、調律も長くご依頼頂くことが多いように感じます。

もしそういった演奏以外のことについて興味が増してくるようであれば、個別にさらに深めていけば、趣味としてもより楽しめると思います。

大人の方はインターネットやSNSを駆使しても良いと思います。

私も高校生から始めたエレキギター関係の情報は、RSS(お気に入りの複数のサイトやブログの最新記事をまとめて読めるサービス)やtwitterなどで常に情報収集することによって、弾くことに飽きそうな時期があってもやめずに18年くらい続けています。

演奏以外に刺激を受ける行動は具体的には他にも色々あると思いますが、(コンサートに行く、作曲をしてみる、耳コピをしてみる...など)それらの取っ掛かりにもなる、まずは簡単な「常に情報収集をする」おすすめです。


「さらっと弾ける」「短い」気分転換できる曲を持つ

調律師 谷口 歩美

谷口 歩美
(鹿児島県鹿児島市)
 谷口さん

モチベーションの保ち方……、親御さんから何度かご相談いただいた事があります。

私自身のお話ですが、子供の頃からお世話になっているピアノ教室(個人)では、「指の練習曲・バイエル・クラシック・好きな曲」の3~4冊を30分のレッスンで勉強させていただいていました。

学年が上がるにつれて曲のレベルが上がるため冊数は2冊~3冊に減りました。

  • 集中力が短い幼少の頃は、色々な曲をつまみ食いする感じで、飽きずに練習できたように思います。
  • 中高生頃は、集中力も上がり、また一番曲がこなせるようになってくる時期なので、好きな曲に没頭することができました。
  • 大人になると、年1回の発表会に向けて1年かけて練習できるので、心に余裕をもって練習できます。しかし、1年間となるとだれてくることもあるので、1段2段……と暗譜できる小節を増やしてモチベーションを保ったり、時には録音して誰かに聞いてもらったりして、気を引き締めて練習しています。

あとは、ずっとやっている事ですが気分転換できる曲を持つようにしています。同じ練習ばかりでは飽きたり、心が折れそうになる時もあるので(^^;)

コツは【「さらっと弾ける」「短い」「自分の定番の曲」】を2曲ぐらい決めて弾くことです。最近のわたしの定番曲は「勇気100%」「星に願いを」「ハッピーバースデイ」です。

ピアノに限らず、楽器は通しで弾けると楽しくて気持ちが良いのでおススメです(^^♪

たまにリズム変えたり、和音変えたり、自己流アレンジして楽しむのも良いのではないのでしょうか?


椅子に座ったらすぐに弾ける状態にすると効果テキメン

まめたろうピアノ調律

まめたろうピアノ調律
(北海道岩見沢市)
 石川さん

毎日ピアノを弾くようにするコツ、あるピアノの先生に聞いた話です。

いつでもピアノの蓋を開けっぱなしにして楽譜を開いておき、椅子に座ったらすぐにでも弾ける状態にすると効果テキメン!

メンテナンスの点から考えると、蓋を閉めないとホコリが入ってしまうのですが、これは毎年調律師に掃除してもらえれば解決すること。

お子さんがなかなか練習しないと嘆いていた調律のお客様にこの話をしたところ、子供がピアノのそばを通ると結構な確率で弾き始めました、とのお声をいただきました。

試しに自分でも試してみたら、なるほど! 楽譜を見ると弾きたくてウズウズしてくる……。

一曲だけ弾こうかな~ポロン♪ 気付いたら弾き続けて1時間経っていました!

やる気がない時って、ピアノの蓋をあけるとか、楽譜を本棚から引っ張り出すことすら面倒なものなんですね。

そのひと手間を無くすだけで、こんなにもハードルが下がるものなんだなぁと実感しました。

子供も大人も効果がありそうです♪


演奏者に楽しく長く続けて弾いてもらえるピアノに調整する

ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

どうしたらピアノを長く続けられるか、よく先生の立場から問われますね。

良い教え方、生徒さんにあった教え方、生徒さんに興味を持たせる教え方、ピアノの先生は生徒さんに長く続けて弾いてもらおうと、色々と試行錯誤されておられると思います。

ではピアノの技術者という別の立場から見るとどうなるでしょう。良いピアノ、生徒さんにあったピアノ、生徒さんに興味を持たせるピアノ、ということになるでしょう。

技術者は、演奏者に楽しく弾いてもらおうと、色々と試行錯誤して調整しているのです。

音がはっきりしない重いダッチのピアノで弾くバイエルほどつまらないものはないと思います。

音に張りがあり心地よいタッチのピアノで弾いてこそ、弾くことにますます弾みがついて長く続けて弾いていけると思います。


また同じピアノでも、弾き方や経年変化で音が変わってくるのもピアノです。

例えば以前このようなことを聞きました。
「新品のころは良かったが、最近は音がこもった感じで弾きにくい」
「新品のころは柔らかい良い音だったが、最近はキンキンした音ですごく耳障りだ」
これらはまさに経年変化や弾き方による音の変化で、演奏者がピアノへの興味を薄れさせる原因の一つにもなっていると思います。

技術者の重要な仕事の一つに、いかに弾いていて楽しい音やタッチに調整し改善させるかということがあると思います。

そして、ピアノは買った時と同じ音がずっと持続するということはありえません。その年代にあった新鮮で魅力ある音に改善するのも、技術者にとって重要な仕事の一つでしょう。

ピアノの調律師の仕事は、文字通りピアノの音をきちんと正しい音程にあわせる調律をすることです。

しかし、それだけでは音やタッチの改善には不十分です。整調や整音というタッチや音色の調整も併せてしなければなりません。

演奏者のかたに、いかに楽しく長く続けて弾いてもらえるピアノに調整するか、それこそが技術者の立場から見たいわゆる「ピアノを続けるコツ」になると思います。



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