ピアノの鍵盤が戻らない、原因や修理について紹介
- 鍵盤のドを押しても、もどってきません。ピアノ調律は、5年以上やっていません。何が原因でしょうか? 何か良い解決方法はありますか?
この記事では、ピアノの鍵盤が戻らない原因や、その対処方法について、色々なピアノ調律師さんに聞いてみました。
ピアノの鍵盤が戻らない、原因や修理について紹介
ピアノ調律師さんからの回答をご覧ください。
クロスが湿気などの影響で膨張し、隙間が無くなっている
ピアノ調律さん 談
スティックと言いまして、鍵盤に貼ってあるクロスが湿気などの影響で膨張し、キーピンと呼ばれるピンとクロスの隙間が無くなっており、円滑に動きにくくなっているためです。
鍵盤の調整によるもので、このクロスを挟み圧縮し少し隙間を作ってあげれば、スムーズに動いてくれます。
鍵盤を押しても戻らないという症状、実は遭遇する事は多々あります
おはなピアノ調律 安岡愛美
(東京都町田市)
安岡さん
鍵盤を押しても戻らないという症状ですが、実は遭遇する事は多々あります。 考えられる原因はいくつかあります。
- 鍵盤の隙間から物が落ちて引っかかっている
→ これはお子さんがいるご家庭で度々あります。シールやコイン、カードなど色々と発掘されます(笑) - 湿気による木部やフェルトの膨張や金属の錆
→ お住まいの地域やピアノを置かれているお部屋の環境によりますが、私が北陸にいた時は冬は調律よりもこの修理に時間を多く取られていました。 - 消耗部品の摩耗
→ フレンジコードやブライドルテープなどハンマーの戻りを助ける部品が切れている可能性です。 - 虫食い
→ ピアノの部品は羊毛や天然素材で出来ているので、それを好む虫による被害もあります。
他にも整調の狂いなど、いくつも原因が重なっている事もありますので、一度技術者を呼ばれる事をお勧めいたします。
鍵盤が上がらない時の対処方法動画、試して直らない場合は調律師さんに
100歳までピアノを弾こう! 100までピアノライフ
(奈良県生駒市中菜畑)
川村さん
鍵盤が上がらない時の対処方法動画です。試して頂いて直らない場合は調律師さんに来てもらって下さい。
鍵盤スティックの修理動画です。
このほかにアクションの動きが悪いために鍵盤が上がらない事もあります。5年以上調律にブランクがあるとの事ですので調律師さんに来て頂くのが良いと思います
一番考えられるのは、ピアノが置いてある環境に問題がある
ピアノ調律アミュース 鈴木栄蔵
(千葉県柏市花野井)
鈴木さん
5年以上調律されていなければ、経年変化でピアノの各部品に変化が起こり、鍵盤が戻らなくなる場合があります。
鍵盤自体が戻らないのか、音を出す機能(ピアノアクション)が正常な働きをしていないのか、又は突発的に何か物が鍵盤に挟まったか、いろいろ原因は考えられます。
一番考えられるのは、ピアノが置いてある環境に問題があると考えられます。湿度が多いと鍵盤のキーブッシングクロスやハンマーフレンジのブッシングクロスが水分を含み、動かなくなります。 私の経験ではこの種の現象が一番多いです。
ごくまれに、乾燥しすぎて潤滑剤が固まって起こることもありますが、いづれにしても技術者にみていただく事をお勧めします。
原因として、すぐに直るもの、時間と費用がかかるもの色々
ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
森さん
音が出ない、実はこれがユーザーにとっては一番大きな問題かもしれません。
音が多少狂っていても、音色が多少悪くても、とりあえず弾くことが出来ればなんとかなるものです。しかし、音が出ないとなると、そのことが何よりもストレスになるはずです。
原因として、すぐに直るもの、時間と費用がかかるもの、色々です。
一番単純な原因は、鍵盤と鍵盤の間に鉛筆の芯やビーズなどが入り込んで引っかかっている場合です。この場合、隣同士の二つの鍵盤が動かなくなるのですぐにわかり、異物を取り除けばすぐに直ります。
次に問題となるのが、鍵盤自体に問題がある場合です。通常鍵盤は、左右に少しぶれる遊びがあるのですが、この遊びが全くなくなると、湿度の高い日などに鍵盤が固まって動かなくなります。主に湿気が原因ですが、修理事態はそれほど時間はかかりません。
次に問題になるのが、ピアノの内部にあるハンマーがついているアクション部品に問題がある場合です。これも湿気が主な原因で、湿気で中の部品の動きが悪くなります。
この修理が一番手間がかかります。1本や2本ではそれほど時間はかかりませんが、1本2本音が出ないということは、それ以外にも悪くなる可能性がある予備軍がたくさんある可能性が高いのです。
たとえ1本2本直してその場はよくても、後々他の音が出なくなる可能性が高いということです。この場合は全体の修理が必要になりますが、その時は修理代が数万かかります。調律師と相談してどうするか決める必要があるでしょう。
その他にもソフトペダルのフェルトがハンマーに引っかかっている場合、アクション部品のスプリングが外れている場合など原因がありますが、いずれもすぐに直ります。
音が出ない、そのことでピアノ自体がダメになったのではないか、そのように深刻に考えてしまうユーザーの方も多いようですが、オーバーホールを必要とするほどの大がかりな修理にはなりません。
私も車などで何かトラブルがあると、極端に心配になってしまう場合がありますが、整備士の方に原因を説明してもらうとそれほどでもない場合も多く、安心することが多々あります。
いずれもピアノ自体がダメになるようなことは滅多にありませんから、まずは技術者に相談してどのように対処していくか、決めていただければと思います。
ただこの場合の修理費用は、技術者や店によって調律以上に差がでる場合が多いですね。勿論安かろう悪かろうではダメですが、もし高額な修理代に不安を感じるようでしたら、いくつかの店や何人かの技術者に見積もりを出してもらうのもいいでしょう。
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