子供が弾くには、110センチほどの小型アップライトピアノでもよい?

  • 子供がこれから習うのですが、アップライトピアノで110センチほどの小型ピアノでもだいじょうぶでしょうか?
    130センチの大型だと、音も大きくてご近所へ音が漏れることも心配です。「小型はあまりおすすめできない」との話も聞くので、ピアノの専門の方にご意見を伺いたいと思います。

この記事では、110センチほどの小型ピアノについて、色々なピアノ調律師さんに意見を聞いてみました。参考になれば幸いです。

子供が弾くには、110センチほどの小型アップライトピアノでもよい?

以下、ピアノ調律師さんからのご意見です。


小型アップライトは大型アップライトの代替品、電子ピアノも同じ図式

ピアノ調律さん 談

良いと言える訳が無く、ダメと言い切る事も出来ません。

アップライトピアノはグランドの代替品。
小型アップライトは大型アップライトの代替品。
電子ピアノも同じ図式。

本物に勝てる筈が無い。
子供も大人も関係有りません。


音量や響きで満足できれば、小型ピアノで充分対応できる

ピアノ調律アミュース 鈴木栄蔵

ピアノ調律アミュース 鈴木栄蔵
(千葉県柏市花野井)
 鈴木さん

お子様がこれからピアノを習い始めるということですが、110センチの小型と130センチの大型では、主に弦長や響板の面積が違ってきますので、音量や響き、鍵盤のタッチも違ってきます。

音律についても小型ピアノの場合、弦長や弦の太さの違いから、調律の割り振り区間で、低音を低めに、高音を高めにしないと割り振りが完成しない傾向が出てきます。

この場合オクターブでややうなりが出ますが、よほど音律に敏感でなければ、気にならないと思います。

従って、音量や響きで満足できれば、小型ピアノで充分対応できると思います。


小型のピアノより大きめのピアノの方が弾きやすく指への負担が少ない

ピアノ調律さん 談

お客様からたまに同じ質問をいただくことがあります。

お部屋に余裕があれば小型よりも大きめのピアノをオススメすると思います。

小型でも悪くはないと思いますが、子供だろうが大人だろうが小型のピアノより大きめのピアノの方が弾きやすく指への負担が少ないです。

また、ピアノが弾き手の演奏レベルについていけなくなります。

インテリアピアノ、家具調ピアノは小型がほとんどですが、とっても可愛いので弾きにくい事を承知で購入された方もいらっしゃいます。

見た目の圧迫感も少ないので設置場所の関係であえて小型を選ぶ方もいらっしゃいます。が、その様な理由ではないのなら大きめのピアノが良いと思います。

アップライトピアノ自体がグランドピアノを無理やり起こしたような構造なので、グランドピアノ程自然なタッチではありません。(タッチを良くするために更に補助部品をつけることもあるくらいです)

そして小さいピアノは無理やり小さい構造になっているので、大きめのピアノより鍵盤のコントロールが難しく連打性も劣ってしまします。

ピアノが小型より大きめの方が音量もあるので確かに住宅街だと気をつける必要があります。

音のエチケットはとても大切なので、ピアノの背中(響板)を吸音材などで塞ぐ、厚手のカーペット等を敷く等の工夫が必要になると思います。実際その様にされている方も多いです。


ピアノの高さが110センチであろうが、弦振動である限り大きな音が出る

Music TAKANO

Music TAKANO
(茨城県水戸市六反田町)
 阿久津さん

何歳のお子様かは不明ですが、ピアノの高さが110センチであろうが130センチであろうが、弦振動である限り大きな音が出ます。

近所にも聞こえます。マンションであろうがアパートであろうが、いかに防音しようが聞こえます。そして現代人はそれを容認してはくれないのが現実です。

幸い今の時代、後付けの消音ユニットがありまして、これでヘッドホンで頭蓋骨に直接音をぶつける事ができます。良い時代です。

現代建築においての密閉式の部屋の湿度調節が、難しく、生のピアノの生息が厳しいものになっていますね。

小さいピアノだとメカも細かいので、湿気による故障が起きやすいですから大きいピアノをオススメです\(_ _)

出来れば消音ユニットつきがベストかもです。


大丈夫、私も小さい頃からずっと小型ピアノで練習していた

ピアノの森・調律工房

ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
 森さん

大丈夫ですよ。私も小さい頃から大人になるまでずっと小型ピアノで練習していました。

少なくとも、電子ピアノを買うか、普通のピアノを買うかで悩んでいることと比べれば、はるかに良いです。(悩んでいるのでしたら絶対に普通のピアノを買うことをお勧めします)

そして、大型のピアノだとご近所に音が漏れるのではと思われるのもごもっともですが、ピアノが大きくても小さくても音漏れに関してはそれほど差はないでしょう。

大きいピアノと小さいピアノの差、一番の差は、大きいピアノの方がボディが大きくなり低音も豊になるので、より深みのある響きになるということです。しかし、上を見たらきりがありません。

小さいアップライトピアノよりは大きなアップライトピアノ、アップライトピアノよりはグランドピアノ、小さなグランドピアノよりは大きなグランドピアノ、国産ピアノよりもドイツの一流ピアノ……。

技術者の立場から今まで色々なピアノを見て来た経験から言わせていただければ、調整が悪くてあまり状態の良くない高級ピアノもあり、一方で正しい調整をした良い状態の手頃なピアノもたくさんあります。

調整でピアノは大きく変わります。確かにピアノは一流だが鳴りが悪く音がこもりタッチも重い、ピアノはリーゾナブルだが鳴りが良く表現力もあり弾きやすい、どちらを選びますか?

ホールにある一流と言われるピアノでも前者のようなタイプもあり、一流なら全て間違いがないというわけではありません。

あと、小さい子には一流ピアノは弾きこなせない、一流のピアニストにしか弾きこなせないからこそ一流ピアノ、そういう意見もあると思います。

しかし私の持論として、ピアノの音というのは、小さい子から大ピアニストまですべて平等だと思っております。

ある特定の人にしかそのピアノの音が受け入れられないのなら、それは何かしら偏った性格をピアノが持っており、それは技術者によって修正されなければならないと思います。

ただ、あまりにも音やタッチが軽いと、子供さんにとってまるでおもちゃのピアノのごとく弾きやすくなってしまうので、そこは注意しなければならないと思います。

例えば、ピアノのハンマーに薬品をつけて音がキンキンしすぎたピアノ、電子ピアノもそうかと思います。

これらのピアノは普通の状態から比べるとかなりタッチも軽く感じ音楽表現の幅も狭くなってしまい、これが当たり前と思ってしまうのは今後の成長を考えたら決してお勧めできるものではありません。

しかし、それでも子供さんがキンキンしすぎた音のピアノと柔らかい豊な音のピアノを弾き比べた場合、ほとんど後者が良いと言います。

それぞれ経済的な理由もあるので、すべてのかたが一流ピアノを持つなど到底不可能です。しかし、調整自体はそれほど高いものではありません。

ぜひ、子供さんの時から良い調整をした表現力の豊かなピアノを触らせてあげたいですね。



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