Q&A: ピアノの調律は、自分でできるか?

調律師さん方の視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 




Q
: Q&A: ピアノの調律は、自分でできるか?



 インターネットの動画でも、アップライトピアノの調律を自分でやっている人がいます。道具があれば少しくらいならできそうな感じもしましたが、自分でやってしまってピアノを傷めてしまうなど危険はないでしょうか?宜しくお願いします。

ピアノユーザー様からの質問





A:調律師さんの回答






やめておいた方が良いです。
実際調律師の調律動画を見て、単純に
簡単そうに見えるらしいのですが、、
実際やってみると、結構面倒な作業ですからね

単純作業と思いきや、行動の中にチューニングビンの
固さや音程の高低差等々感知しながらの作業です。
やってみるとユニゾンを合わせたと思った瞬間に音が下がる
というアクシデントに見舞われるという悪夢に悩まされるはずです。、チューニングハンマーの制御は御しがたいですからね。
更に断線からアクション機構の調整迄同時進行ですからかなり厳しいですから、もしチャレンジしたければ、それ相応の予算と覚悟が必要です。あとは練習のみですね。

何とか出来ると思うならチャレンジャーですね。
頑張って下さいね❤️
我々調律師も直すのは仕事ですから大歓迎します。
ただ、フレームの破壊だけは修理不能ですからね

 music takano





 見た目には簡単そうに見えますが、実際に消音ミュートや
チューニングハンマーを操作して、必要な鍵盤を弾いて出た音が減衰するまでに、2音間のうなりの速さを聞き分けたり、ユニゾン合わせたりする作業は、そう簡単にはできるとは思えません。
ピアノによって出てくる音はまちまちで、うなりが聞きやすい場合とそうでない場合もあり、ある程度の訓練、慣れが必要と思われます。
ユニゾン(同音)のみを合わせるなら可能かも知れませんが、合わせられたにしても、いつまでその状態を保てるか、調律の持ちの問題が待っています。
従いまして、興味本位での試みでしたらおすすめすることはできません。
それなりの覚悟をされてから実施なさってください。




 是非挑戦してみて下さい。
調律には耳で聞いて調律する方法と目でチューナーを見て調律する方法があります。

まず 調律するに至って道具は調律専用工具を用意して下さい。スパナなど絶対に使わないで下さい。

調律を開始します。
まずドレミファソラシドの音程をつくりますが調律師はF33~F45間でつくります。(ファソラ・・・)
其れを割り振りと言いますが平均律で素人が割り振ることは困難です。ギター用のチューナーなどでおこなって下さい。
割り振りが出来たら低音、高音へと広げて行きます。(88鍵 調律する事は無理です低高1オクターブ位にしておきましょう)オモチャのピアノ位の音程にはなると思います。
あくまでもお遊びのつもりでおこなって下さい。終わったら調律師さんに丁寧に仕上げてもらいましょう。

立川ピアノ調律技研





 調律の専門学校や養成所などの実技カリキュラムに倣って「自習」すれば、ご自分でも出来るとは思います。但し相当な集中力と根気を持って訓練しないと実用レベルの精度で調律を仕上げるのは難しいのではないでしょうか。例えば、弦の鳴っている部分だけでなく鳴っていない部分(チューニングピンとアグラフなど)の張力の釣り合いを探りながら、チューニングピンを操作して目的の音の高さにセットする技術一つとってみてもその習得には相当な訓練を要するということが、たとえ弦一本でも実際に調律してみると実感できると思います。
ご家庭でお寿司を食べるのにスーパーで売っている切り身を買ってご自分で作れるとは思いますが、プロのお寿司屋さんの握ったものとはだいぶ様子が違うのと同じですね。

また、ご自分で調律する際、ピアノやその他を傷つけたり壊したりする可能性としては

・調律するために外装パネルや鍵盤蓋、その他部品を着脱する必要があるのですが、取り外しの際にそれらを傷をつけてしまう。(場合によっては床や壁、周辺の家具あるいは手指などを傷つける可能性もあります)
・工具のサイズや種類、扱い方が不適切で部品や本体に傷をつけてしまう。
・ミュートの差し込みでダンパー(止音機構)を傷めてしまう。
・合わせている(つもりの)弦と違うチューニングピンを回して弦を切ってしまう。

などが考えられます。ちなみに上述実技カリキュラムでは、まずピアノを傷めない、壊さないようにする技術や手順を並行して教わるのが普通です。
これらのリスクをよくお考えになって、あくまでも自己責任で行って下さい。

尚、弊社ではご自分で調律されて万が一ピアノの調子が悪くなってしまった場合でも、見積もりの上修復のご相談にも応じます。お気軽にご相談ください。

株式会社クオルピア  倉田尚彦





 おそらく演奏者以外の方が楽器を調律し、それを職業としているのはピアノとパイプオルガンくらいでしょう。それだけピアノの調律がいかに大変かということです。これは車のレースでも同じようなことが言えますね。車を運転するドライバーと、車を調整するメカニックは分業ですね。
確かに少しくらいなら出来ると思います。しかし、最低音から最高音まで狂いがなくバランスよく調律する、すぐに狂わない持ちの良い調律をする、音合わせだけでなくタッチや音色まで調律する、そこまで考えると少しくらいでは到底できません。かなりの時間と年月と経験が必要です。
音を合わせさえすればタッチや音色まで全てが解決すると思われているかたも多いようですが、決してそのようなことはありません。調律の他に、タッチ調整の整調、音色調整の整音という別の調整があります。これら3つをバランス良く組み合わせてこそ良い音にすることができます。
ピアノの200本以上の弦を正確に調律するには最低2年は必要でしょう。さらにタッチ音色調整に関しては、様々のピアノに接してセンスや感覚を磨く必要があり、10年は必要でしょう。
例えば、モコモコした音やキンキンした音を調律と演奏のタッチだけで改善しようとするのはほぼ不可能かと思います。音色調整をすることによってこれらは大きく改善するのであり、そのことで演奏者は自分の思い通りのタッチで音楽をより表現しやすくなります。良いピアノは多くのことを演奏者に教えてくれます。そのようなプラットフォーム作りをすることこそ調律師の仕事ではと思います。
どうでしょう、これを読んで自分で調律調整しようと思いますか?それとも調律師にまかせようと思いますか?ただ、土台を調律師がしっかり作った上で、部分的な音の狂いに関しては演奏者が直してもいいかと思いますし、むしろそうしていただけたらと思います。特に弦が切れて新しい弦に張り替えたときなどその音はすぐに狂いますので、そのようにしていただけると大変助かります。
そして、本来分業であるピアノ演奏と調律調整ですが、自分としてはピアノ演奏を一生の趣味として続けていく上で、自分の好みの音を自分で作れるのはとてもラッキーなことだと今は思えます。

ピアノの森・調律工房
森 一夫


 


ピアノ調律.net 編集部


 




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