古いピアノで象牙鍵盤の汚れを落とすには?
- うちのピアノはかなり古く、年代物のアップライトです。鍵盤は象牙なのですが、今や全体が黄色くなってしまって、汚くなっています。どうにかしてできるだけきれいにしたいのですが、何か良いクリーニング方法はあるでしょうか?
今回は象牙の鍵盤のクリーニング方法について、ピアノ調律師さんに聞いてみました。
古いピアノで象牙鍵盤の汚れを落とすには?
ピアノ調律師さんからの回答をご覧ください。
やり直しが効かず、技術者がクリーニングするもの
ピアノ調律さん 談
まず、それはアクリル鍵盤ではないため、やり直しが効かず、基本的に技術者がクリーニングするものです。
加えて、象牙鍵盤の研磨のやり方は企業秘密とさせて頂きますが、手の水平感覚を伴う作業ではあります。
ご質問ありがとうございます。なお、私や私の師である田中ピアノ調律所は、むしろそういう100年前製造くらいのピアノばかりを扱っているので、象牙鍵盤の研磨は日常的にあります。
漂白方法ですが、古い時代でも1000番ペーパーで表面を削り
Music TAKANO
(茨城県水戸市六反田町)
阿久津さん
象牙鍵盤の漂白ですよね。現在は象牙鍵盤付きのピアノも余り見なくなりましたね。
象牙自体がワシントン条約の関係で取り扱いが出来なくなり、たまに私蔵されていた在庫か、マンモスの象牙と偽り密輸品が密かに出回っていたりと、ほぼ死滅していますね。
40年前は、手頃な値段で買えたものですがね。
さて漂白方法ですが、古い時代でも1000番ペーパーで表面を削り、古くはオキシドールをアクションから取り外した白鍵の上においた半紙の上から、少しずつ筆で塗り重ねては乾かしてを三回以上繰り返してで漂白していきます。
だんだんと象牙鍵盤表面が溶けて、年輪が出てきます、だんだんと白くなっていきます。
仕上げにゴフンを塗布して仕上げです。
オキシドールは今やAmazonでも買えますしゴフンもしかりですね。いい時代になりました。
40年前は、薬局に言って、膠(にわか)やオキシドールを劇薬扱いで店主に怪しまれながら買った記憶がありますね。
Amazon辺りで買うと濃度が薄いようです。鍵盤に直接塗布して効果を試した方が良いですね。
筆は余り柔らかなのでは作業がしにくいですね
象牙鍵盤も使用頻度が低いと中音域だけが際立って黄ばんでいる傾向があります、きおつけて作業してくださいね。
手垢のような汚れでなら、固めに絞った布に石鹸をつけて拭けく
立川ピアノ調律技研
(神奈川県藤沢市本鵠沼)
立川さん
手垢のような汚れでしたら、固めに絞った布に石鹸をつけて拭けばすぐとれますが、黄色く変色した鍵盤は漂白するしかありません。
漂白するには過酸化水素水(オキシフル)を、象牙に塗って日に干す作業を繰り返し行います。然しそう簡単ではありません、下準備が必要です。
鍵盤にそのまま過酸化水素水を塗っても、はじいてしまいますので、水ペイパーで全体を研ぐ作業をします。
古いピアノの場合鍵盤が摩耗し中央がへこんでいたり、にかわ(接着剤)が剥がれかけ、カマボコのように膨らんだ鍵盤をよく見受けられます(作業に手間が)象牙がしっかり接着されていればよいのですが。
あまり白くすると脆くなりますので気をつけて作業をします。最後にバフ掛けして艶をだします。
因みに象牙の染み(インク)とかは漂白してもおちません。
50年ほど前、研修をしていた頃、漂白剤で黄ばみを落としていました
ピアノ調律さん 談
50年ほど前、私がピアノの修理工場で研修をしていた頃は、漂白剤で黄ばみを落としていました。
その場合、強度的に落ちるということも言われておりましたので、現在は他にもっと良い方法があるかも知れません。
お役にたてず大変申し訳ございません。
象牙鍵盤の黄ばみをとるには漂白しかありません
ピアノの森・調律工房
(埼玉県さいたま市浦和区)
森さん
象牙鍵盤の黄ばみをとるには漂白しかありません。漂白剤ですが、工業用の劇薬として扱われているもので、一般のかたには中々手に入りにくいものです。
天気の良い日に1日かけて漂白すれば、かなり黄ばみがとれます。
その後、バフかけといって機械で磨き上げれば、綺麗な光沢のある白い象牙鍵盤が蘇ります。
その他、最近では人口象牙の鍵盤もありますが、こちらはペーパーのやすりで研磨すれば黄ばみがとれます。
鍵盤の素材によってもタッチ感は大きく変化しますね。
黄ばんだ鍵盤はレトロ感がありますが、象牙鍵盤の柔らかい感触も大変魅力があると思います。
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