Q&A: 弦の張替えで、音は良くなるの?

調律師さんの視点から、この点についてどう思うのか聞いてみました。

 



Q
: Q&A: 弦の張替えで、音は良くなるの?


 20年以上前に購入したヤマハのアップライトピアノを、このたび子供に使わせることにしました。実家でほとんど手入れをすることなく長期間眠っていたため、だいぶ音もくたびれた感じなっています。ピアノ業者の方に全体の整備について相談したところ、弦の張り替えも提案されました。特に弦が切れていたり、ものすごく錆びているというわけではないのですが・・・。音を蘇らせるのに弦の張り替えまで必要かどうかが、自分ではよくわかりません。その必要があるかどうか、調律師の方にご意見をお聞きしたいと思いました。宜しくお願い致します。


ピアノユーザー様からの質問






A:調律師さんの回答



ハンマー整形を含むアクション調整や鍵盤のメンテナンスを行い整調一式を行えば復活します。

現物のピアノを見ているわけではありませんので、あくまでも推測ですが、今までの経験からすると20年くらい前のヤマハのピアノならピアノ線の張替は必要ないと考えます。

なお、低音の巻線がボン線と判断なら低音弦だけでも張替た方が良いでしょう。





弦も消耗品である為、経年変化・サビや付着した汚れなどにより劣化します。

そういう意味では弦の張り替えにより音が良くなるというのは間違いではありません。

しかし、音質は弦だけの問題ではなくハンマーフェルトの状態や調律・調整(整調)・整音(音質調整)がどのくらいされているかにも大きく左右されます。逆に言えば弦だけ交換しても音が良くなったと感じない事もあるでしょう。
音の良し悪しは主観ですし、ピアノの状態により何をしたらお客様(弾く人)が満足されるのかを提案するのは調律師の判断です。

実際のピアノの状態を見なければはっきりしたことは言えませんが、ご相談の20年以上前に購入したが目立つ弦のサビもないという場合であれば、おそらく調律や調整(整調)・整音を行うだけでもかなり印象が変わるのではないかと思います。

調律や調整・整音などをやっても満足出来ないということであれば弦の交換なども検討して良いかと思います。

弦の張り替えは高額の修理になりますし、交換後は弦が安定するまするまで常よりも短い間隔での調律が必要になります。

段階的に手を入れて様子をみてはいかがでしょうか?


下川ピアノ調律技術






弦の張り替えで、音は良くなるの?

確実に良くなります。
芯線は見は綺麗でも錆びは確実に全弦にあり、響きが伸びなくなっています。
巻線は錆びに加え埃が目に詰まって音の伸びを阻害しています。
ままたチューニングピンも張力を保持するトルクが下がっている事が多く全弦交換するのであれば交換すべきです。むしろチューニングピン交換が必要なピアノが多く見受けられます。
実際に古くなったフォークギターの弦を交換してみればその差が判ると思います。ギターの弦は1000円以下で買えるので試して見たら差が歴然ですよ!ギターの弦も芯線と巻線があるので状況はピアノと同じです。

銘弦堂

代表 三浦 晃一



 

確かに弦交換をすれば音の伸びは変わりますが、この作業は工房での作業になりますので、費用がかかると思われます。
ヤマハのUPで20年程度の経過、断線や酷い錆がなく、お子様がこれから使用するという条件でしたら、弦交換はせず、全体的な掃除や調整・調律・整音を実施されたら、かなりのところまで音は蘇えると思います。その場でできる作業なので、費用は弦交換の費用より、大幅に少なくなると思われます。




弦の張り替えは必要ありません。
むしろ今が一番安定している時期だと思います。
一般家庭でポロポロ弾いている位でしたら20~25年は新品同様です。
下手にチューニングピンをクルクル回して負担をかける必要はありません。
小さなお子さんがお使いになるなら、まずは一番に整調、調律に重点をおきましょう。

立川ピアノ調律技研  立川雅規





ぼられますよ。
そもそも長期に放置すると音はかなり狂います。
そこを突かれて、ワイヤーを張り替えようとする輩がいます。
錆びは落とすことは可能ですし、わざわざ取り替えて
直ぐに音が狂うのに頻繁に調律をしないといけない環境に
持っていこうとしてますねー

全部のワイヤーを変えるとなるとかなりの時間と労力とお金がかかりますし、その後頻繁に調律しないと音が落ち着きませんので、
追加料金が半端無いですよー

定期的に調律しておけば何の問題も無いので、別の調律師さんを探した方が得策ですね。
便りになる技術者を探すのが得策ですね。

因みに低温部のワイヤーは銅線が巻いてあるので高いキーポード買えるくらいの値段しますからね❗

しかも低音ワイヤーを買えようものなら、張り替えた次の日には既に狂うし、ベースだけで丸一日かかりますからね、

現状維持で修理をお勧めします。

Music TAKANO





弦の張替についてはたくさんの事例や状態によって必要か必要でないかという事になります。
最良な判断は実際の状態を技術者が見て改善対応をとのことが適切です。
〇張替が必要な場合
1、弦が著しく錆びてしまって錆びを落とすことが困難な場合。
※多少錆びていても音には影響しません。錆びている状態でご使用している方はたくさんおられます。よって張替か張替ないかはお客様のご希望が優先。

2,巻き線(低音部)の真線に巻いてあるコイルが古くなって雑音がしたり詰まった音色になってしまう場合。
※たまに1本だけあるいは数本見かけます。その弦だけの張替。

3,弦は1本およそ平均張力100㌔前後で張られていますが経年劣化で弦を巻き付けてある「チューニングピン」が緩くなってしまい張力を保持することができなくなり直ぐに音が狂ってしまう。
※「チューニングピン」が緩くなる原因は「チューニングピン」を支えている「ピンブッシュ」というピンの外周に差し込んである部品の劣化です。
対応方法は2種類あります。①新しいピンブッシュを交換。その際は弦も新しいものに張り替えます。
②ピンブッシュが劣化しているけどまだ大丈夫そうなら「チューニングピン」を一回り太いものと差し替える。その際は新しい弦を張り替えます。
参考/ピンブッシュから交換することとチューニングピンのみを交換するのでは修理費用に大きな差額がありますのでお客様の立場にたった信頼できる技術者の判断が必要。

総論
20年前くらいにご購入のヤマハピアノ。
ヤマハのピアノですからまったく弦を張り替える必要はありません。
弦の張替は莫大なお料金がかかります。
大きな修理利益を得るためにたまにまだ必要ないのに「弦の張替」をすすめられてしまうケースをお見掛けします。

お客様のヤマハのピアノの場合の音色やタッチの不具合の改善に必要な対応は
①ハンマーの整形。それに伴う整音。
②アクション内部の可動部にあるピンがスムーズに稼働しなけばピンを交換
③鍵盤の動きが固くなっておりますので鍵盤がスムーズに動くように鍵盤調整。
①②③の作業はピアノの音の立ち上がり。音色。などを変化・改善するために必要な作業。
④最後に適正な技術者による調律。

以上です。
久保調律事務所
担当 久保徳広





この手の相談を多く受ける事があります。
大体がピアノの弦の交換が必要の無いものです。
そして、弦交換以外の修理も本当に必要か?という内容も多いのです。
つまり、修理業者が利益のために必要の無い修理を持ちかけ、結構高い金額を設定して、大きな値引きをしてお得感を出すというもので、こんなピアノ業界でも詐欺まがいのことがあるのかと驚きます。

さて、弦の交換はどのような場合に行うのか、
・錆などで劣化がひどい。断線もある。
・金属疲労で断線が多くなった。高音弦ならまだしも低音弦も切れだした。
・かなりの年数(40~50年)が経ち全体のガタつきが気になる。
・響板の割れが発生して弦には問題ないが、修理のため弦を外さないと響板割れの修理作業ができないため交換。

弦交換のメリット、デメリット。
メリット
・艶やかな音が蘇る。
・音の伸びが良くなる。
・気に入った弦メーカーのものに変えられる。

デメリット
・新しい弦はとにかく伸びるので音程が安定するまで1~2年(環境による)はかかる。何度も調律を行わないといけない。
・決してオリジナルには戻らないのでオリジナルに近い状態に戻せる技術が無いとひどいものになる。アクションを弦に合わせる調整する技術が必要。その技術が無い所が行うとひどいピアノになる。
・弦の交換に伴い他の部品も交換になるので、適切な部品を選ばないとピアノが安定しない。

このように弦の交換はかなりのリスクがあるものなので慎重に対応した方が良いです。

ご質問のピアノに関しては弦の錆もなく劣化も無くまだ20数年というのであれば交換の必要が無いと私は考えます。
メリットよりデメリットの方が大きく、それをカバーする労力が必要です。

以前このような例の相談が何件も来て、80万円のオーバーホールを今契約したら半額にします、というピアノを見に行ったら5~6万円の修理で済んだ例もあります。

ピアノは弦の交換というのは人間でいう大手術をするとことなので、術後の対応がしっかりしている所を見る必要もあります。

 


20年以上前のヤマハのアップライトピアノということで、基本的には弦の交換は必要ないかと思います。

まずは、弦の交換などはせずに調律調整をされてみてはいかがでしょうか?
音がくたびれた感じとありますが、ヤマハのピアノはとてもしっかりしていますので、きちんと調律調整すれば音にハリが出て50年経っていようがとても良い音がします。
新品の音とは少し違った感じですが、それが悪い音かというと全然そんなことはありません。

その上で気になるところなどあれば交換なども考えてみてはいかがでしょうか?
弦の交換の目安として、低音部がボンッとした感じで全然音が伸びないや、全体的に音の減衰がとても早いなどです。
低音部で数本音が伸びないなどでしたらそこだけ交換すればいいですし、全体的に減衰が早く伸びない場合は、弦の圧力がなくなってしまってるので、治す場合はオーバーホールといってだいぶ大掛かりにはなります。
ただ、もちろんどこまで求めるかにもよりますが、ヤマハでオーバーホールが必要になることはあまりありません。

弦を一台張り替えるとなるとそれなりの価格もすると思います。
その場合、思い入れのあるピアノならばきっちり直して使うのもいいですし、あまりに費用がかかる様なら買い替えなども考えてもいいかもしれません。
中古などならオーバーホールするより金額的にはお安く済むと思います。

牛久保ピアノ
牛久保寛太



私の修理や調整をする時の基準やポリシーは、悪い部分を直すということです。つまり、できるだけオリジナルの状態を維持するということ、そのことでそのピアノのオリジナリティーの良さをより維持出来ますし、コストも安くすみますのでお客様にも喜ばれます。
では今回の弦の張替はどのような場合にするのか。60年以上経ったピアノは木が痩せてきて、調律の保持が難しくなるケースがあります。その場合は弦とチューニングピンを交換します。
弦交換すれば音が良くなると思われているケースも多いようですが、実際はそれほど大きくは変化しません。お金をかけて交換したものの、それほど変わったとは感じないという感想も聞いたこともあります。ただし、銅線が巻かれた低音弦に関しては30年くらいで劣化してくるケースがあります。音に芯がなく、ボンボンとした張りのない音になってきます。この場合は低音弦だけ変えることもできます。作業時間はそれほどかかりませんし、料金も安く済みます。
最近特にオーバーホールが必要と言って高い修理代を提示してくる業者が多いように思います。お客様にとっては、弦の張替も含めて専門家に必要と言われればそうしなければと思ってしまうのかもしれませんが、果たして現状では必要ないと思われる修理までして高い料金を支払う必要があるのか、50年未満のピアノで20万円以上の修理代がかかるのはかなり環境が悪い場所に置かれていたピアノであり、通常の状態ではまずありえないと申しておきます。

ピアノの森・調律工房
森 一夫





ピアノ調律.net 編集部


 




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